先週土曜日(2012.5.12)放送の『世界ふしぎ発見』はヨルダンでしたね。そこで紹介されたのが、沙漠(土漠)の中に地上絵が描かれたように見える「カイトサイト」。
詳細は同番組をご覧いただくか、番組HPを見ていただくとして、この「地上絵」、いったいどこにあるかというと、ヨルダン北東部、シリア国境近くのウンム・アル=ジマールあたりから、アズラックあたりまでの平原地帯に点在しています(一部はさらに南、マアーンまでの間にもあるのですが)
この辺りには過去の火山活動で噴出した黒玄武岩が多く産出されるところでして、かのアラビアのロレンスが拠点としたアズラック城や、観光客にはあまり知られていませんが規模が大きいウンム・アル=ジマール遺跡は、この黒玄武岩で建造されていますし、そもそもこの黒玄武岩が噴出したおおもととされているシリア南部ハウラン山脈沿いのボスラやカナワット、シャハバといった遺跡都市もこの黒玄武岩で有名ですね。
Ancient Jordan From The Air/D. L. Kennedy
さて、同番組で紹介された「地上絵」、実は絵ではなく、建造物の遺構なのですが、私が滞在しはじめた2005年頃にはすでに考古学関係者にはよく知られた存在でして、その関係の元締めでもある私の勤務先にはヨルダンじゅうの遺跡を空撮した写真で構成された左の写真集が献本されたところでした。
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2005年5月に刊行されたこの写真集には「カイト・サイト」の空撮写真が5~6枚掲載されています。例えば、右の写真はウンム・アル=ジマール遺跡から東にちょっと行ったところのムケイファというところのカイト・サイト(A kite embedded in the modern Inadscape near Mukeifteh pp54)
黒い筋のようにみえるところに、玄武岩で石塁がもうけられています。
また、下の写真のように、同番組で取り上げられたサイトの写真も載っています(A wheel and jellyfish house village pp73)
もちろんペトラやジェラシュといったメジャーな遺跡も取り上げられているのですが、282ページの大判ハードカバーに掲載された230点近くの写真の半分ほどは、おそらく皆さんにはどこにあるのかもわからないようなマイナーな遺跡の空撮写真というこの本。われこそはヨルダンマニアという人はぜひどうぞ。