ベカー高原 バールベックからカーア国境まで | アーディで行こう

アーディで行こう

「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

レバノンのバールベック遺跡からは、南のシュトゥーラに戻らずとも、北側からシリアへと国境を抜けることができます。それがカーア国境です

アーディで行こうالحدود القاعカーア国境
レバノンのバールベックとシリアのホムスを結ぶ街道にあり、バールベックから約55km、ホムスからだと40km弱です。カーアとはレバノン側の村の名前で、シリア側はالجوسيةジュウスィーエ。国境線から4km入った村の名で、シリア側スタンプ(写真右)はこの名で押されるのですが、シリア国境の例に漏れずかなりマイナーな地名なので、ホムスでさえこの名を出して理解されることはありません。ジュウスィーエからさらに6kmの、القصيرクサイルという町なら、みんな知っていますが。
というわけで、カーアの方がとおりが良いですね。ちなみに、カーアもジュウスィーエも、その前に定冠詞のالアルがついているので、正確にはアルカーア、アッジュウスィーエとなりますが、かなり弱音なのでほぼカーア、ジュウスィーエで通じるでしょう。

アーディで行こうبعلبكバールベックからカーア セルビス
さて、バールベック遺跡を出て町の方に歩き出すと、すぐに安宿のホテル・シュウマンが見えてきます。ここで(営業の)声をかけて来たのが主のシュウマン。こっちがシリアに行く旨告げると、「セルビスなら次の道(町を南北に貫くメインストリート)を左に曲がって...」と説明しだしましたが、途中でそこにいるぼろベンツのおやじに「シリアだけど、いくらなら行く?」と問いただしました。最初の返答はドル換算で1台27ドル。
かつてホムスで国際セルビスに聞いたとき言い値1人500SP(つまり11ドル)だったので、4人なら安い! あのとき300SPにするのが大変だったし、もし300SPにできたとしても4人(1台)で1200SP=26ドルなんだからこれで良いじゃないか。そう思った私たちはこれに乗ったのでした。
右の写真はバールベックからでたところの道。ここはまだハイウェイに出ていないのでガタガタです。こんな道路をずっと走るんか? と思っていましたが、街道に出ると最近改修されたらしく、ビシッと舗装されていました。

アーディで行こう$アーディで行こうベカー高原北部にもキリスト教徒が点在する
一口にベカー高原といっても、南部にはドルーズ教徒が多く、ワインの町ザハレを抱える中部にはキリスト教徒が多いのですが、ベカー高原北部はもはやシーア派の牙城。バールベックも現在の住民はほとんどがシーア派です。
ところが、こんなベカー高原北部にも、キリスト教徒が集住している集落が点在しているんですね。有名なのは、バールベックからレバノン杉で知られるカディーシャ渓谷へと抜ける山道の入口にある
دير الاحمرダイル・エル・アハマル(赤い家という意味)という集落ですが、こっちのホムス街道にも、何カ所かキリスト教徒の集落がありました。

上の写真はالجديدةジュディダという村の教会。ここはラス・バールベックに近く、運転手によると、かの村からキリスト教徒が移住してできた村だということです。ラス・バールベックには私もまだ行ったことがないのですが、修道院やら教会の遺跡があちこちにある町なんですね。レバノンが平和なら、もっと観光地として知られてもいいところなんですが。

ベカー高原にはバールベック以外にも遺跡が点在
まあ実際、ベカー高原にはキリスト教会遺構に限らず、中部や南部を中心にローマ時代の遺跡がたくさんあるんですが、「危ない」イメージが強過ぎて、ほとんど観光客が来ていないですね。
有名な遺跡には、ザハレ北方のنيحاニハーがあります。といっても私も実際に行ったことはなく、USAIDが出版した

Roman temples of the Beqaa Valley

というパンフレットで見ただけなんですが。
これらのレバノンのパンフレットについては、また今度紹介します。