中東のバスルーム事情 | アーディで行こう

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「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

バスルームはアラビア語でハンマームحمام

ヨルダンをはじめ、シリアやレバノンといったあたりでは、ホテルやアパートではトイレをバスルームに設置するのが一般的です。日本のユニットバスみたいな感じですが、ユニットではなく、ちゃんと部屋として施工されており、かなり広い。
ですので、一般的にトイレとは呼ばず、風呂を意味するハンマームと呼びます。
レストランなどではもちろんトイレだけが設置されているのですが、やはりトイレと言うよりはハンマームと呼ぶ方が一般的。「トワレット」という外来語は一応あるものの、ほとんど使いません。ヨルダンで暮らしはじめた頃、同僚か誰かに「トイレと言わず、ハンマームと言うものだよ」と教えられもしました。


というわけで、トイレ事情に引き続き、ホテルのバスルーム事例をご紹介しましょう。

典型的な安宿のバスルーム・レイアウト
$アーディで行こう-ダーナ・タワーホテルのシャワー$アーディで行こう-ジアドのトイレ1枚目の写真はヨルダン・ダーナ村のダーナ・タワーホテルのハンマーム。この安宿、ここ数年で部屋を増設しており、この写真は新しい部屋のものですが、それでも1泊10JD程度とかなり安い。日本人だと特別価格がありますが、ここのオーナーも商売上手ですので、朝・夕食などオプションを含めて値段を交渉しましょう。部屋のサイズ、雰囲気ともさまざまです。まあ、居心地のいいホテルの一つだと思います。
写真のハンマームは、壁にデザインタイルを使っていますが、これを白タイルに置き換えれば典型的な安宿バスルームのレイアウトとなります。シャワーはトイレに隣接しており、シャワーを使うと部屋中水浸しになりますが、これもヨルダン、シリアの安宿では一般的。
シャワーのノズルは、管にそのまま穴がついたラッパをくっつけた形で、固定式。せいぜい左右に降るくらいしか動かないタイプです。これもヨルダン、シリアの安宿ではよくあるタイプ。
それより一番困るのは、服を避難させておくフックや、石けん・シャンプーの置き場がないところが多いことです。特に共同シャワーには、服置き場が欲しいですよね。たいてい、仕切りの上とかに架けるしかないです。中東の旅行者に定評のある安宿で、共同シャワーにフックがたくさんあって便利だったのは、カイロのベニス細川家くらいしか記憶にありません。
また、トイレットペーパーがシャワー水のかかる位置に無造作に置かれていることも多いので、これも避難させることをお忘れなく。

典型的な中級ホテルのバスルーム・レイアウト
2枚目はシリア・デリゾールにあるホテル・ジアドのバスルーム。1泊30ドルくらいするホテルです。東地中海地方(シリア、ヨルダン、レバノン、パレスチナ)の中級ホテルのバスルームの典型的なレイアウト。私の住んでいたアンマンのアパートでも、ほぼこれと同じです。
奥がシャワーブースで、カーテンは水が飛び散るのを防ぐもの。下には水受けもあり、室内はそれほど水が飛び散りませんが、それでも湿っぽくはなりますし、シャワー後は少なくとも靴下では用を足せないでしょう。
ビデも普及している
洋式便座の手前にあるのは、いわゆるビデbidet。ビデと言えばラテン系ヨーロッパという思い込みがあるかもしれませんが、実は中東でも沙漠地帯を中心に広く普及しています。ヨルダンの首都アンマンでは、アパート・マンションにもかなり設置されていました。私の安アパートにもあったくらいです。小便器ではないのでご注意を。
床のタイルは滑りやすいので注意
ヨルダン、シリアの安宿~中級ホテルでは、客室床もカーペットが敷いてなく、タイル張りになっているところが多いですが、これが水のついた裸足だと非常に滑りやすい。要注意です。

$アーディで行こう-ヨルダンのハドリアンゲートホテルのトイレアーディで行こう-トルコスィワスのファーティヒホテルトイレアーディで行こう-バロンホテルのトイレシャワーブースに仕切りが入ると
3枚目は、ヨルダン・ジェラシュのハドリアンゲートホテルのバスルーム。このホテルは新しく、しかもこの部屋は一番いい部屋なので、シャワーブースにしっかりした仕切りが設けられています。このスタイルは、ヨルダン・シリアではまだまだ珍しいですが、トルコあたりではわりとよく見かけます。
シャワーの方はヨルダンではまだまだ珍しいシングルレバー混合水栓ですね。

トルコでは内装デザインが凝ってくる
ヨルダンやシリアでは、わりと高級ホテルになっても、2枚目のような白タイルを基調として清潔感を押し出したものが多く(それでも隅をつつくと汚いですが)、せいぜい1枚目や3枚目に見られるとおりタイルを色柄にしてみるくらいのデザインしか変化がありませんが、トルコの新しいホテルには、かなりおしゃれなバスルームをよく見かけます。
右の4枚目の写真は、前回ノズル内蔵型洋式トイレで出てきたスィワスの安宿、ホテル・ファーティフ(ファーティヒ)ですが、とりわけ洗面台がおしゃれです。鏡の上についているライトも凝っています。
これでシングル35TL! 1TL=100円近くした07年頃でもまあ妥当な値段と言えるのに、今ならレートが4割ダウンですから、実に安い。
きれいなホテルといえはある程度高級か、外国人旅行者向けにがんばっているホテルしかないヨルダン、シリアと違って、トルコはビジネスホテルクラスでもこんなホテルがあちこちに転がっていて、ほんと便利ですね。

中級老舗ホテルのバスルーム
5枚目の写真は、シリア・アレッポのバロンホテルのバスルーム。バロンホテルと言えば、1909年の開業以来アレッポを代表するホテルとして、セオドル・ルーズベルトやケマル・アタチュルクが泊り、アガサ・クリスティが「オリエント急行殺人事件」を執筆したことで知られる老舗ホテルです。残念ながら現在のサービスレベルに昔日の面影はないのですが、建物と内装は往時のまま。特に朝食会場となっている1Fのレストランと、その隣のバーは趣きあるたたずまいで、それを感じるだけでもこのホテルに宿泊する価値はあるかも(くれぐれもサービスには期待しないように)
さて、ノーマルルームのバスルームは右写真のとおり。広いバスタブがある以外、基本的には2枚目のホテル・ジアドと同じスタイルであることがわかります。さすがに老舗だけあって、トイレットペーパーホルダーもついていますね。
2005年に宿泊した際はわりとお湯が出たので浸かることができました(今はわかりません)栓があったかどうかは覚えていないのですが、なかった場合は、なにか手持ちのビニールに靴下でも詰めて栓にしたのでしょう。ちなみにゴム製の栓はダウンタウンの露店などでよく見ますが、実はバスタブ用と洗面バシン用では口径が違い、2種類あります。1種類しか売っていない場合、たいてい小口径のバシン用なのでご注意を。

あんまりしょぼいバスルームばかり紹介すると、こんなところしかないのか? と思われそうですが、外国人ツアーが使うようなホテルのバスルームはまあ、それなりにいいので心配しないでください。