アンマンのバスを使い倒す | アーディで行こう

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「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

アンマン市内にはバスやセルビス(乗合タクシー)が縦横に走っていて、非常に安い運賃で乗ることができます。ただ、路線図やバス停が未整備なので、どこにどんなバスが走っているのかは、利用している人と運転手しかわからないという、一見さんお断り状態です。でも、使いこなせればとても便利なので、ここでご紹介しましょう。

バスの種類
アンマン市内を走っているバスには、大きく分けて公営の市内線バスと、民間会社の路線バスがあります。公営のバスはAutoBus(アラビア語ではムタカーメラ)という名称があるのですが、市民はもとより利用者もそんなことは知りません。どちらもバースと呼ばれています。民間の方は多数の会社があり、マダバ線のように統一されたデザインのバスが100台くらい走っているところもあれば、運転手が一人親方状態で気ままに運行している路線もあり、さまざまです。

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民間のバスは市内線でもマイクロバスが多い。だいたいトヨタか三菱のバス。
行き先はフロントガラス下、側面後ろタイヤの上あたり、後部のガラス窓下にアラビア語で書かれている。

公営の市内線バス
公営の市内線バスは、2008年から下の写真の塗装に変更し、フロントガラス上の電光掲示板もほとんどの路線につきましたので、わりと利用しやすくなりました。利用方法は以下の通りです。
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公営のAutoBus。2008年からこの車体が増えている。
フロントガラス上に路線番号と行き先が電光掲示される

1 バスを停める
バス停以外でも、たいていのところでバスは停まってくれます。腕を水平にまであげて、乗りたい意思をアピールしましょう。ダウンタウンやザハラン通りなどでは停車するところがだいたい決まっていますので、写真のようなバス停らしきところを使いましょう。
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ザハラン通りなどには右のような屋根付きのバス停がある。
男性が後ろドアから乗っているのは、車内が混雑している、つまり女性を押しのけないと奥に入れないから。この場合、運賃だけ先に前扉から運転手か近くの乗客に渡す。

2 往き先を聞く
路線番号はフロントガラスの上に電光掲示されていますが、まちがっていることもあるので、乗車時に自分が行きたい場所を運転手に告げるといいでしょう。行かない場合は、「ラ」と短く否定されたり、軽くあごをしゃくられたりしますので、降りればいいわけです。
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運転手に「ウェンラーイエ?」と巻き舌で聞かれたら、行き先を告げよう。
上のボックスはICカードの読み取り器。変なところは進化している。

3 運賃を払う
行き先が正しければ、運転手横の運賃箱に運賃を払います。上の写真の右下に写っている透明プラスチックの箱がそうです。運賃は路線によって異なるので、運転手に「ガディッシュ?」と額を聞くといいでしょう。返事はだいたい以下の通りです。2009年6月時点では、0.25~0.50JDの間、0.25か0.35の路線が多いです。

 ルバア        (1/4 クオーターの意味)    →  0.25JD 
 ハムサゥイシュリーン (25キルシュ、ルバアと同じです)→  0.25JD
 タラティーン     (30キルシュ)         →  0.30JD
 ハムサゥタラティーン (35キルシュ)         →  0.35JD
 アルバイーン     (40キルシュ)         →  0.40JD

お釣りは基本的にありませんので、路線に応じた小銭を用意する必要があります。乗客が多いバス停だと、次に乗ってくる客の小銭でお釣りをもらえることもありますが、あくまでサービスです。

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運賃が改定された時に車内に新しい運賃表が貼り出される。
2005年夏のもの。その後も原油価格高騰を受けて、現在はさらに値上がりしている。
蛇足ですが、3行目を見ればわかるように、アラブ圏では、日本と同じく左から 年/月/日の順に日付を表記します。数字がアラビア文字に変わっても同じです。 2005の左にある م は西暦を表しています。 

4 席に座る
車内はわりと混んでいます。男性と女性席は特に分かれていませんが、おおむね女性は前方、男性は後方という座り分けになっています。というのも、女性が乗ってきた場合、男性は必ず席を譲らなければなりません。このマナーは日本とは比べ物にならないくらい守られているので、男性が前方に座っても、よほどガラガラでない限り、座り続けることはまず不可能だからです。

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最後部から車内を見るとこんな感じ。

5 降車する
自分の降りる場所が近づいてきたら、日本と同じようにボタンを押してバスを止めます。ただし、日本とは違って、ボタンを押すとすぐに(だいたい50m以内で)停まるので、ぎりぎりまで待ってから押しましょう。日本的感覚で押すと、とんでもない手前で停まってしまいます。
押しボタンがない時や、急いでいる場合は「ナーゼル」と声を上げましょう。隣に座っている人と、
「ナーゼル?」(降りる?)
「ナーゼル」(降りる)
という会話があちこちで聞かれます。
降車ドアは中扉です。女性は前ドアからでもOKです。

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古い車体で色だけ塗り替えられた公営バス。

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これも公営バス。どっかの国が援助でもしたのか、2006年にドアが3カ所、ダブルタイヤを履いたこの低床車が現れたが、その後の主流にはならなかった。

どんな路線があるかは、次の機会に。