ヨーロッパのコンパートメント車で編成された列車
さて、切符を買ったので駅のホームへ入りましょう。イランでは日本と同じように改札があります。テヘラン駅など主要駅から外国人が出発する場合、改札近くにある鉄道警察ブースで行き先を告げ、切符の裏面にスタンプをもらいます。改札の人が指示してくれます。
テヘラン駅はホームが駅舎より1段低いところにあって、改札がそのままホームをまたぐ跨線橋につながっています。ホームは5面10線(ほんとうは1番線には反対側に国際列車専用ホームがあって、6面)あり、屋根が架かっています。サーリー行き218列車は9番線からの発車でした。翌々日に乗った時は8番線でしたから、使うホームは日によって変わるようです。
列車はわりと古めの、青色とシルバーに塗られた車両で統一されていました。8:30定刻に発車です。テヘラン駅を東へ出るとすぐ南へ向きを変え、複線区間を100キロくらいのスピードで快調に走ります。
車内はコンパートメントになっていて、どこか90年代にドイツの東駅で見かけたり、ドレスデンあたりで乗った車両に雰囲気が似ているなあーと思っていたら、後で調べたらデンマーク国鉄DSBからの中古車両のようです。
コンパートメントと通路の間には磨りガラス入りのドアがあって、ラジャという旅客鉄道会社のロゴをはさんで左に部屋番号、右に座席番号が磨り込まれていました。
最初の停車駅ヴァラーミンورامينです。イランではこの見送りの女性のようにチャードルという黒い布で頭を隠さねばなりません。ただ、前髪は出してもOKのようで、同じようにイシャールという布で頭を隠したら、前髪をきっちり隠すのが一般的なヨルダンやシリアの女性を見慣れた目から見ると、前髪を染めている人あり、ウェーブしている人ありと、いろいろ楽しんでいるように見えます。話によると、この前髪のだし加減が、その町、その時の寛容度を示すバロメーターなんだそうです。
また、ヒップラインがはっきりしているのもダメ。なのでこのようなロングコートのようなものを羽織るか、裾が腰下まで達する上着を着る必要があります。
この服装規定は外国人にも適用されており、同宿の女性旅行者は、あるとき街角でダダーっとおばさんが寄って来たと思ったら、乱れていた裾を直されたと体験談を語っていました。その人は別に宗教警察でもなんでもなかったそうで、親切心からの行動に見えたということです。
このイスラームの教えに由来する服装規範の話をすると長ーくなるので、また別の機会に。
列車はピスヴェに停車後、荒涼とした土漠のなかをひた走ります。わりと大きな駅ガルムサールを出ると右に複線が分かれて行きました。これはマシュハドに続く線路で、イラン国鉄で一番列車が多いメインルートのようなものです。
谷間を右に左に列車は走る
北東に転進した列車は谷間に分け入って行きます。カボゥタルダラکبوتردرهという駅です。
麦わら帽子をかぶって線路の点検をしている人がいました。
スィミンダシュトسيمين دشتという駅でもかなり乗車してきます。
メハーバードمهابادの駅の外れには、すがすが並木の下にタンク車が並んでいました。
小さな川沿いに谷を遡るにつれてまわりの緑が増えていきます。
やがて何本もの線路が広がる駅に到着。山間の小邑フィルーズクーفروزكوهに到着です。
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