キング・フセイン・ブリッジからエルサレムへ その1 | アーディで行こう

アーディで行こう

「普通」を意味する便利な言葉、「アーディ」 地元の足として、とことこ走るバスなんかを「アーディ バス」、エジプトではエアコンなし列車を「アーディ」 そんな方法での旅を紹介しましょう。
え、そんなの自分には無理だって? 大丈夫。「アーディ、アーディ」

イスラエルへの入国
ヨルダンのアンマンとエルサレムとの間は、直線距離でたった70キロ、道のりでも100キロしかありません。
しかし、残念ながらその間には厳重な警戒の国境があり、心理的には非常に遠いところです。
また、イスラエルに入国したことがわかると、この国を認めていないアラブ諸国には入国できません。
  現在、そうした国々は以下の通りです(2009年10月時点での外務省の海外安全情報による)
  イラク、レバノン、リビア、サウジアラビア、スーダン、シリア、
  イエメン、ソマリアの8か国
 (まれに、エジプトやヨルダンも入国不可という話がネットに出ることがありますが、国境を
  開いているくらいですから、そんなことは決してありません。和平条約も結んでいます)

そのため、イスラエル出入国スタンプを別紙に押して、パスポート上に履歴を残さないという便法が使われており、それが最も通用する国境が、以下に紹介するキング・フセイン・ボーダーです。というわけで、多くの旅行者がわざわざこの国境を使ってヨルダンとイスラエルを往復しているのです。(エジプトのターバー~エイラット~アカバの国境でも別紙が可能という話を聞いたことがあります)

ただし、この別紙押印も、その時の国際情勢で中止していたり、対応した係官の判断で個々に不可とされる場合があって、絶対とはいえません。じつに困ったものです。

最近で中止となっていたのは、私の知る限り2006年夏~秋です。ヒズボッラー戦争のあった時ですね。でも秋も終わりになると、ぼちぼち成功談が入ってきていました。

2009年6月にこの国境を往復しましたので、それに基づいて解説しましょう。

キング・フセイン・ブリッジ
جسر الملك حسين
(ジスラル・マレク・フセイン)へはセルビスで
キング・フセイン・ブリッジは、ヨルダン渓谷を流れるヨルダン川に、死海北岸から12キロに架かっている橋の名称で、ヨルダン側の国境名ともなっています。イスラエル側は第一次世界大戦の時のイギリス軍アレンビー将軍の名前をとって、アレンビー橋と呼んでいます。

アンマンからキング・フセイン・ブリッジ国境へは、ムジャンマ・シャマーリー(北バスターミナル)から出る直行セルビス(乗合タクシー)を使うのが一般的です。このセルビスは、3つの島にわかれて屋根が架かっているムジャンマ・シャマーリーの、中央の島のまんなかあたりに乗り場があって、他のセルビスと同じ白い乗用車ですが、ドアの行き先表示が黄色に塗られているのですぐわかります。
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キング・フセイン・ブリッジ行きセルビスはドアの行き先表示が黄色になっていて目立つ

運賃は1台20JD。4人が定員なので1人5JDです。私は13時半近くにムジャンマに着いたところ、ちょうどセルビスが出発してしまったところで、運転手たちによると、キングフセインブリッジの出国はあと1時間ほどで閉まるから、もう客は来ないだろうとのこと。実際になかなか同乗者が現れず、3名となったところで出発しました。ですので運賃は1人7JD。
国境到着は14:40だったので、1時間弱かかったことになります。
なお、2009年6月に出国審査係官に聞いたところ、ヨルダン側出国は朝8時から15時まで。金土曜は13時までということでした。最近、イスラエル側がパレスチナ西岸とヨルダンとの間の国境の開放時間を延長し、自治区経済の活性化を図るという旨のアナウンスをしているので、もしかしたら数年後に変わるかもしれません。根本的な解決にはほど遠い話ですが。

もっと安くキング・フセイン・ブリッジに行く方法
キング・フセイン・ブリッジ行きセルビスは、国境は越えないのですがヨルダン国内のバスやセルビス運賃よりは料率的にかなり高額です。もっと節約したい人は、以下の方法がいいでしょう。私は試していませんが、所要時間もそれほど変わらないはずです。ちなみに、キング・フセイン・ブリッジをタクシーなど車でそのまま越えることはできません。必ずイスラエル(orパレスチナ)ナンバーの車に乗り換える必要があります。
ムジャンマ・ムハジェリーンからシューネ・ジャヌービーヤ行きバスに乗って、終点からタクシーで国境へ
ダウンタウンの西はずれにムジャンマ・ムハジェリーンمجمع المهاجرينという小さなバスターミナルがあります。ここから、キングフセインブリッジの手前4キロにあるシューネ・ジャヌービーヤالشونة الجنوبيةまでマイクロバスが頻繁に出ています。所要1時間、運賃はなんと0.65JD。シューネ・ジャヌービーヤは小さな村ですが、交通の結束点ですので各地へバスが出ており、タクシーもたくさん待っています。ここからタクシーでキングフセインブリッジまで4キロ、だいたい1台2~4JDといったところです。

ムジャンマ・ムハジェリーンへはアルフセイン・モスク前のバス停などキング・タラール通りで乗車できる大型バスで10分ほどです。

キング・フセイン・ブリッジ国境ヨルダン側出国
出入国審査の建物は塀で囲まれており、道路に面した奥の入口から入ると写真のようにバスが停まっています。
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この写真左手に曲がると、正面に建物がありますがそちらは入国審査の方なので、さらに左手、道路側の壁に面した建物で出国審査を受けます。
ヨルダンの出国税は5JD。支払うとペトラの写真のついた印紙が貼られた台紙がもらえますので、それをパスポートとともに出国審査窓口に出すと、台紙の方にスタンプを押してくれるというわけです。

緩衝地帯はジェット・パスで越える
出国審査を終えたら、係員に聞いて建物前にいるバスに乗り込みます。これは緩衝地帯を往復しているシャトルバスで、運賃は2.75JDに荷物代1.1JDでした。この荷物代は一般にトランクに入れた大型の荷物にかかるようですが、帰りのバスでは手荷物も徴収したりして、この辺がアラブのいやらしいところですね。ちなみにこのシャトル・バスに計4回乗りましたが私はジェット・バスにしか当たったことがありませんが、上の写真のようにイスラエル側のアブド・バスもあるようです。アブドの方ではどの通貨で払うのかははっきりしませんが、ここの運賃をイスラエル・シュケルで払ったという体験談は、今のところ聞いたことがありません。

緩衝地帯では、ヨルダン側の最後のチェック・ポイントで出国スタンプのついた印紙を回収されてしまいます。その後日本のODAで架けられたキング・フセイン橋を越えます。これが短いのに斜張橋というタイプのコンクリート橋。10年ほど前に日本でも猫もしゃくしも斜張橋という感じで、このタイプの橋を架けるのがブームになっていましたね。
橋を越えるとイスラエル側のチェック・ポイント。ここでは全員降りてパスポートを係官に見せなければなりません。その間に車内の不審物がチェックされます。

続きはまた後で