クイーンアリア国際空港では、一般のタクシーやセルビスは客を乗せることを禁じられています。これは厳格に守られているので、例えば市内から客を乗せてきた一般タクシーを拾うこともタイミングと運がよくないと難しいです。出迎えのいない観光客は、エアポートリムジンバスか、エアポートタクシーを使うことになります。
ターミナル2から出発するリムジンバス
باص إكسبرس المطار
(バース・イクスブレース・アルマタール)
エアポートリムジンバスはターミナル2の到着ホール出口から出ています。ターミナル1から乗っても、それは市内から到着したバスなので、ターミナル2で1時間近く休憩されてしまいます。ターミナル2の到着ホールにはエアポートリムジンバスのブースもあるので、そこでチケットを買えますが、停まっているバスの車内でもチケットを買えるので、写真のバスが来たら運転手に「アンマン?」と聞いて乗って待っていてもかまいません。大きな荷物は床下のトランクに入れます。バスを利用する人はそれほど多くないので、満席になることはまずありません。運賃は外国人だと3JDです。大きな荷物は別途料金が取られることもあります。
黄色い車体のエアポートリムジンバス
バスが発着するところに時刻表がありますが、早朝、深夜便の運行時刻はちょくちょく変わるので、うのみにしてはいけません。帰りが深夜になる場合は、必ず最新時刻を聞いておきましょう。2009年夏現在、空港発が朝7時~夜11時に毎正時発車、それに深夜2~3時頃トルコ航空を待ち受けて1本出ます。この深夜便は私が見る限り結構な利用率なので、同じような時刻に着く英国航空やルフトハンザの客や、トルコ航空でも到着後まごまごしている客は置いて行かれることがあります。
リムジンバスの発着するところにある時刻表
左欄が空港発、右欄がアンマンのムジャンマ・シャマーリー発車時刻
リムジンバスは経路の途中でも降車できる
エアポートリムジンバスはデザートハイウェイを経由してアンマン市内を通り抜け、市内北部のムジャンマ・シャマーリー(北バスターミナル)まで行きます。途中で降車することもできますが、その場合は床下のトランクに荷物を入れてはダメです。どこでも停まれますが、降車客の多いところを紹介しましょう。
ジスル・マダバ
جسر مادبا
(ここまで所要時間約15分)
デザートハイウェイの上をダウンタウン~マダバ間の道路が斜めに立体交差するインターチェンジで、ジスルとはこの辺のアラビア語で「橋」を意味し(エジプト以西のコブリーとは異なります) ジスル・~はよく立体交差点名で使われます。
なにもない荒野にあらわれるジスル・マダバ。マダバヘは橋の上に登って乗り換える。
ここで降り、橋の上を左(西)へ向かうバスに乗り換えるとマダバに行けます。逆に右(東)へ向かうバスに乗るとペトラなどヨルダン南部に向かうバスが出るムジャンマ・ジャヌーブへの近道です。ワヒダットというところでバスを乗り換えるとダウンタウンへも行くことができますが、ワヒダットはえらく混沌としたアラビー感100%の地ですので、中東初心者が空港からはじめて降り立つ地としてはあまりお薦めできません。
スウェイフィーエ・7サークル
صويفية، دوار السابع
(スウェイフィーエ、ドワール・サービア)
(ここまで所要時間約40分)
しだいに住宅が増え、町へ入ってくると最初に降車客が多いのが、7サークルというところです。これはアンマンのアップタウンを東西に貫くザハラン通りの、7番目のサークル(日本風に言うとロータリー形交差点)付近なのでこう呼ばれており、アラビア語では「ドワール・サービア」と言います。近代的な中層ビルが建ち並び、空き地の向こうにピザハットが見えたらそこが7サークル。交差点自体はバス前方にあります。右側はスウェイフィーエという繁華街で、道路を渡ればジェットバス、ムッタヒダバス、トラストバスといったアカバ行き定時発車バス会社の発着事務所や、セーフウェイという大型スーパーがあります。在住外国人も最近はこのスウェイフィーエにオフィスを構えることが多いです。
7サークル付近はこうなっている。市内バスへの乗換えはバス前方へ200mほど歩く。
禁無断転載
7サークルを曲がってザハラン通りに入ったところ。左のツインタワーはヨルダン・ゲートと称するヒルトンホテルのタワー。2年前から建設中も未完成。
シメサニ・ハウジングバンク前
الشميساني، مجمع بنك الاسكان
(シメサニ、ムジャンマ・バンキルイスカーン)
(ここまで所要時間1時間)
7サークルで右折し、交通量の多いザハラン通りを東進した後、4サークルで地下インターチェンジを曲がると、写真のような市街地が見えてきます。ここがシメサニという、スウェイフィーエに次ぐ高級オフィス街で、ヨーロッパの国際機関や大使館、会社のオフィスはこの地区にあることが多いです。
シメサニに近づくと写真のような光景が見える。手前中央のビルがアラブバンク・シメサニ店。
2009年夏現在、この写真の地点を越えると道路工事中で迂回しますが、もとの道路にもどったところにハウジングバンクという銀行の本社ビルがあり、そこで降りるとダウンタウンへのセルビス乗り場が近いです。セルビス乗り場は、近いのですが道順がわかりにくいので下の図を参考に。ダウンタウンへは6番のセルビスが便利です。白い乗用車が並んで停まっています。
ダウンタウンへは6番のセルビスで。禁無断転載
ムジャンマ・シャマーリー
مجمع الشمالي
(ここまで所要時間1時間20分)
シメサニを過ぎると、次の大きな交差点を左折し、スポーツシティという運動公園を回り込んで、ムジャンマ・シャマーリー(北バスターミナル)に到着です。ここはアンマンの北側郊外にあり、あと5分も走れば人家も疎らな荒涼とした丘陵地帯に出てしまいます。
ムジャンマ・シャマーリーはアンマン最大のバスターミナルですが、発着するバスはヨルダン北西部方面行きに限られます。市内へはアブダリ~ダウンタウン~ラガダンと進む市内バスとセルビス、3サークル~ムジャンマ・ムハジェリーン~ムジャンマ・ジャヌーブと進む市内バスとセルビス、タラーア・アリー(別名ガーデンストリート)というアップタウンへと行くセルビスくらいしかありませんので、スウェフィーエ、ジャバル・アンマン、シメサニへ行く人は経路途中のザハラン通りなどで降りてしまいましょう。ダウンタウンへも、前述の通りシメサニでセルビスに乗り換えた方が早く着きます。
また、エアポートリムジンバスを降りた外国人はタクシードライバーの格好の餌食です。ここで声をかけてくる車に乗ると、運賃はメーターの3倍から無限大にぼったくる、ホテルが満室だと言ってマージンの取れる別のホテルに連れていくなど、およそ交通機関としての体をなさないサービスしか受けられませんので、そういうのが好きな人はどうぞ。タクシーに乗りたければ、振り切って道路を流している車に乗るか、シメサニやスウェイフィーエなどで降りて乗り換えた方が安心です。
新しくできたムジャンマ・シャマーリー。ダウンタウンまでは市内バスとセルビスが使える。
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