アルゴでアカデミー作品賞の栄冠に輝いた、俳優であり映画監督のベン•アフレック、40歳。彼の作品で印象深いのは
『パール•ハーバー』だ。

戦闘機パイロットをたくましく演じ、米国側からの視点でパール•ハーバーの戦いを見る事が出来た。髭はなく祖国愛に満ちた青年を爽やかに演じていた。また、
彼の才能を決定付けたのは『ザ•タウン』である。

犯罪が多発するボストンで銀行強盗団の率いる役だが、主演、監督を勤めその存在感を確立した。
緊張感を生んだリアルな街の再現や地元エキストラの起用で見事なクライムストーリーを創りあげた。生き方を変えようとする主人公を自ら演じ、悪の組織を存続させようとする凶暴な友から逃れようとする。しかし組織はそれを赦す訳が無い。彼等とのクールな訣別は裏切る男と言う難しい役も見事に演じきった。この作品で、ベン•アフレックと言う俳優は、役者でありながら自らメガホンを撮っていたとは驚きである。
2013年第85回アカデミー賞作品賞に輝いた『アルゴ』は若いベンにとっては早い受賞であったであろう。その驚きが隠せなかった事は受賞式の歓喜のメッセージにも表れていた。中東を意識した
顎ヒゲはイランへの敬意か、アルゴ撮影時と同じ様であった。また作品では当時CIAに特殊救出の専門家があった事が驚きであった。しかしベンはここでまた、見事にそのCIA役を演じきった。素晴らしかったのはキャスティングにもあるが、エンドロールで分かる。実際に脱出劇をやってのけた大使館員本人達と俳優が瓜二つである映像を見る事が出来るのだ。綿密な計画の裏には、映画撮影隊としてはスキだらけの素人の彼等をいかに本物に見せるかの特訓風景が、この作品の一つの見所でもある。
最も緊張するシーンは、この脱出作戦を大統領が認めるかどうかだった。
取り巻きは全て反対に回るが、その作戦以外に救う手立てが無い事を知るカーター大統領は、しばらくしてから
GOサインを出して、
アルゴ作戦幸運を祈る、
のテレックス文が届くシーンが
最も印象に残ったのである。
現在も続く、アメリカとイランの対立
、外交が微妙な今だから、と言う事と
18年間黙秘を続けたアメリカは、その知られざる過去を表に出し、正義のアメリカを強調したのかも知れないが、
その途方もない、信じ難い外交ミステリーを映画化したベン•アフレックの執念がアカデミー会員達の心を捕らえたのであろう。

Candyからの投稿