
一般解説
スティーブン・スピルバーグ監督が、名優ダニエル・デイ=ルイスを主演に迎え、アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンの人生を描いた伝記ドラマ。貧しい家に生まれ育ち、ほとんど学校にも通えない少年時代を送ったリンカーンだが、努力と独学で身を立て大統領の座にまでのぼりつめる。しかし権力の座に安住することなく奴隷解放運動を推し進めたリンカーンは、一方でその運動が引き起こた南北戦争で国が2つに割れ
一般解説
スティーブン・スピルバーグ監督が、名優ダニエル・デイ=ルイスを主演に迎え、アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンの人生を描いた伝記ドラマ。貧しい家に生まれ育ち、ほとんど学校にも通えない少年時代を送ったリンカーンだが、努力と独学で身を立て大統領の座にまでのぼりつめる。しかし権力の座に安住することなく奴隷解放運動を推し進めたリンカーンは、一方でその運動が引き起こた南北戦争で国が2つに割れるという未曾有の危機にも直面していく。奴隷制度廃止を訴えた共和党議員タデウス・スティーブンスにトミー・リー・ジョーンズ、リンカーンの妻メアリー・トッドにサリー・フィールド、息子のロバート・トッドにジョセフ・ゴードン=レビット。脚本はスピルバーグ監督作「ミュンヘン」のトニー・クシュナー。第85回アカデミー賞では同年度最多12部門にノミネートされ、デイ=ルイスが史上初となる3度目の主演男優賞受賞となった。
私の感想
アメリカ合衆国の歴史は南北戦争をなくしては絶対に語れない。移民の国アメリカは
安い労働力を求め、南アメリカや中南米、更には混乱のアフリカに乗り込み人身売買を行った。当然ながら全てが黒人。男は力仕事。女は家事洗濯や子守など朝から晩まで僅かな賃金で働かせていた。人権などある訳がない。時代と共に黒人が人間として生きる権利が理解されながらも、白人社会は黒人を馬鹿で汚い物の象徴扱いをして来た。
水飲み場やトイレも完全に分け徹底していた。やがて、人権運動が盛んになりアメリカはリンカーンの登場で大きく変貌する。
本作は揺れる政権と、南北戦争、黒人奴隷解放をいかにリンカーンが成し遂げたかが焦点である。しかし物語はアメリカ大陸の発展の歴史を知らずしては理解は乏しくなる。コロンブスやネイティブアメリカン、先住民族、インディアンの歴史を知る事が前提となり、ヨーロッパや中南米からの移民国家が、ようやく一つの国になろうとした分岐点が南北戦争である。平和を求め、全ての人民を人間らしく生きさせる為に尽力したリンカーンはアメリカの歴史そのものなのである。スピルバーグの描いたリンカーンは南北戦争終結に向けての議会論争が中心となるが、娯楽性には欠け、執念で描いたアメリカの歴史再現であったのであろう。アカデミー作品賞にふさわく、ダニエル デイ- ルイスはリンカーンの生き写し。加えてサリーフィールドの奥方役が作品により深みを与えていた。
Candyからの投稿