$『アンソニーロビンス×7つの習慣×大前研一×MBAのPASSION!』-1


先週末の美の狂人たち。
僕のお気に入りの一つ、東山魁夷だった。日本画家の中では、この東山魁夷、上村松園を最近あらためて注目している。心が安らぐからだ。

この作品があるのは、長野県信濃美術館・東山魁夷館。
東山魁夷は、生涯「青」を追及し続けたという。
青といえば、これもお気に入りのリドリースコット監督のブレードランナーを思い出す。

今回の一枚は、東山魁夷作『夕静寂』。描かれているのは北アルプス奥穂高の雄大な山容だ。
画面を覆うのは東山ブルーと呼ばれる荘厳たる青一色。そんな中、じっと目を凝らすと山肌の起伏や谷の深さ、木々の表情までもが浮かび上がってくる。
そんな夕闇の中を光るように流れる1本の滝。
鮮烈な滝の白さがひと際山の静寂を際立たせています。
一面の群青と一筋の白。大胆な色彩世界で日本画の常識を打ち破った傑作だ。

オーストラリアに住んでいた時は、よく気軽に世界遺産のレインフォレストにいった。そうすると、まさに、このような滝があちこちでみることができる。

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東山魁夷は、その生涯を通して信州そして、自然と向き合ってきた画家で、東京美術学校の画学生時代に木曽谷で偶然目にした壮絶なまでに美しい山の夕暮れが、原点だという。

冴え冴えとした月明かりの中、紫から青へとグラデーションに彩られる山肌を目にした魁夷は、
以来信州の雄大な自然に魅せられしばしば山歩きに出かけるようになったのです。
それは心の風景を探し求める人生の旅の始まりでもありました。

オーストラリアでのロッジではまさにこのような美しい、この世のものとは思えない、景色が眼下に広がる。


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昭和8年、ドイツへ留学、ブリューゲルの風景画などに多大な影響を受け、意気揚々と帰国。しかし、展覧会への応募は落選続き。さらに。戦争によって肉親の全てを失い、立ち直れない程の衝撃を受ける。

失意の魁夷を救ったのは恩師・結城素明の一言。

「画学生の頃の気持ちで、もう一度心を鏡にして自然を見ておいで」。

その言葉を境に、彼の中で何かが大きく変わり、再び山へと向かい、自然の中に心を開きながら無心で筆を取るようになったという。
やがて昭和22年に発表した『残照』で、日展の特賞を受賞。
ここから日本画の極みを目指す魁夷の、目覚しい活躍が始まる。

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『夕静寂』は、東山魁夷66歳の時の作品です。
一瞬の山の風景を青一色で。
そして、一筋の白い滝を描きいれました。
ところが、実はこの白い滝実際には存在しないのです。
彼の心の中で滝を見出したのだ。

絵は、画家が、コントロールし、彼らの体を使い、神が表現したのかもしれない、と思わせる作品の一つだ。