2024年5月29日に可決された食料・農業・農村基本法改正案に続き、6月14日には不測の事態に食料を確保するための「食料供給困難事態対策法案」など基本法関連3法案が参議院で可決されました。
次から次へとやってくれますが、同じ14日、種子法廃止等に関する違憲確認訴訟の経過報告会が行われていました、その重要な内容をIWJが取材していました。
弁護団代表でもある山田正彦氏によると、この裁判の発端は10年前のTPP差し止め違憲訴訟で、この裁判はろくな審理も無いまま門前払いされましたが、日本のTPP協定批准後に真っ先に種子法が廃止され、裁判所も「種子法廃止の背景に、TPP協定があることは否定できない」と認めました。
こうして2018年からは種子法廃止違憲訴訟として、TPPの「地方自治体のサービスを民営化する」動きと戦っています。
2017年当時、政府は「優れた民間品種」の代表例「みつひかり」を猛烈に推奨し、それを理由に種子事業に民間が参入できるよう種子法廃止を進めました。
ところが2023年に「みつひかり」が不良で農家が作付できず大変な損害を被りました。
それだけでなく当初、政府が推奨していた時からすでに異品種の混じった粗悪品で発芽率も偽造した、とんでもない品種だったと判明しました。
種子法が廃止され、民間参入による危険が現実になったわけですが、国はもちろん補償しません、これについて質疑応答でさらに恐ろしい指摘がありました。
今回の「みつひかり」不正事件で国産の三井化学が撤退しました、弁護団共同代表の岩月浩二弁護士は「(三井化学が)撤退して、空白が生まれる。
当然ながら、モンサントとかシンジェンタといったところは、F1(1代交雑種)のイネの品種を持っているわけです。
種子法廃止とか種苗法改正とかそういったものが全部、種子メジャーが日本を席巻するための、地ならしになっているとみても、不思議な状況ではないですね。
なぜこんなことをしてきたかと言えば、最後はモンサント様を迎えるためだった、みたいなオチである可能性は、全然否定できない」と述べています。
種子法廃止に対抗して、全国34の都道府県が種子条例を次々と作り、地元の農業を守っていますが、20日に参院可決された地方自治法改正によって国の指示権が強化されました。
法制度も農業の現場でも、外資が日本の農業をどんどん奪っていき、政府がその手先になっています。
しかしここで山田正彦氏は「国に言われたからダメだではなく(憲法に基づいて)国と県は同等と訴えるべき」「国からの指示を(憲法の地方分権によって)首長は拒否できる。
緊急事態の定義が明確でない以上、裁判で争えばいい」と毅然と話されていました。
政権交代で政府を取り替えると同時に、私たち国民も本来の権利を自覚し、各自治体で覚悟のある首長を選出することが重要です。