彼には夢があった。
それは、お金持ちになる事。

彼の祖父は立派な人で、実家は昔ながらの豪邸だった。しかし親の離婚が原因で、彼の幼少期は貧乏な生活を送っていたそうだ。
お風呂もなく、台所で体を洗っていた。
幼いながらも彼はその記憶が今でも鮮明にある。

母は必死で働いた。
彼はその背中をずっと見てきた。
昔の彼は、父の事は殺したいくらい嫌いだったと言っていた。

そんな彼は、将来はお金に困らない生活がしたい、絶対に金持ちになると決めた。

彼の仕事は足場屋。
私と初めて会った時からその仕事をしていた。
私はその当時、現場仕事に魅力を感じていた。
外で汗水垂らして働く姿と男くささが凄く好きだったのだ。
そんな私に彼がよく言っていた。
足場屋なんて、末端の仕事だ。働いてる人間はクズしかいないと。
だから、そんな仕事してる人を好きになるなと。

私は彼自身の人間性が凄く好きだった。
だからそんなこと関係ない。
彼の作業着姿に毎回私は見惚れていた。

彼は私と出会うまで、仕事を転々としていた。
続く仕事はなく、フラフラした生活を送っていたと言う。
そんな彼が1番続いた仕事が足場屋だった。


つづく