
「殿下!間もなくお時間でございます。殿下!」
ソンは久しぶりに着るスーツに違和感を感じながら手に持っていたアニメ雑誌からハッとして目を上げた。
「あ、ああすみません。殿下って呼ばれるの久しぶりだから、、。気が付かなくって。なんですか?カン内官。」
「間もなく機内に参りますのでお支度を願います。」
カン内官が穏やかに微笑んだ。
ソンは久しぶりに着るスーツに違和感を感じながら手に持っていたアニメ雑誌からハッとして目を上げた。
「あ、ああすみません。殿下って呼ばれるの久しぶりだから、、。気が付かなくって。なんですか?カン内官。」
「間もなく機内に参りますのでお支度を願います。」
カン内官が穏やかに微笑んだ。
ソンは頷いてゆっくりとそこから立ち上がった。
この自由ともおさらばかあ。
ソンは窓の外の青い空を見上げた。
仕方がないよな。十分自由に好きなことをさせてもらったのだもの。
キョム兄さんだった大変な公務をこなしているわけだし。
スン兄さんが留学に行く以上僕が帰って手伝うのは当たり前の話。
スン兄さんもお似合いのお姫さま見つけたわけだし。
みんなが僕のために長い留学を文句も言わずに許してくれて応援してくれたんだからさ。
今度は僕が兄さんたちを助ける番だよな。って、助けになるかどうかはわからないけど。
キョム兄さんだった大変な公務をこなしているわけだし。
スン兄さんが留学に行く以上僕が帰って手伝うのは当たり前の話。
スン兄さんもお似合いのお姫さま見つけたわけだし。
みんなが僕のために長い留学を文句も言わずに許してくれて応援してくれたんだからさ。
今度は僕が兄さんたちを助ける番だよな。って、助けになるかどうかはわからないけど。
「、、ふふっ。」
ソンが一人で苦笑しているとカン内官が不思議そうに振り向いたのでソンは何もなかったように表情を元に戻した。
ソンが一人で苦笑しているとカン内官が不思議そうに振り向いたのでソンは何もなかったように表情を元に戻した。
もちろん韓国は大好きだ。宮も大好き。大好きな両親と兄弟がいるのだから当たり前。でも、、。
イ ソン。韓国皇家の現皇帝の4男。
身長185㎝、体重68㎏。スポーツは兄たちほど万能ではないが一通りこなす。
音楽もまあ一通り無難な程度には。
音楽もまあ一通り無難な程度には。
ただし勉学は中の下。
3人の兄はそのどれもが上の上という一族だからある意味、辛いところもあったがそのことで家族からプレッシャーを受けたことはない。
そのことで悩んだことがないとは言わないけどもともとの性格も手伝ってかそう深刻にはならなかった。
むしろ両親、兄弟ともに自分の才能を褒め、そしてそれを磨く助けもしてくれた。
そのことで悩んだことがないとは言わないけどもともとの性格も手伝ってかそう深刻にはならなかった。
むしろ両親、兄弟ともに自分の才能を褒め、そしてそれを磨く助けもしてくれた。
そう。ソンには美術的才能、それは母である皇后陛下チェギョンから受け継いだものであると思われる―は類まれなるものでそしていわゆる漫画、アニメと言われる分野に長けていたのだった。
しかし、モデル並みの体型、姿であるソンがアニメオタクであることはあまりにもアンバランスであった所為か韓国の高校時代はある意味別の意味で目立ちその独特なキャラに一歩引かれる面も多くあまりいいことずくめとは言えない高校生活を送り、もともとアニメの勉強をさらにしたかったこともあって日本への留学を早々から実行していたわけである。
専攻性の高い専門学校への留学だったためあまり大きく公表はされず、同じように日本へ留学を希望していたすぐ上の兄の友人でもある先輩のカン ゴンとともに生活を送っていた。
日本そのものがあまり人に干渉することのないところだったし、専攻自体そんな感じだったせいか違和感なく、自分の立場に関係なく同じ話題で盛り上がる友人たちもすんなりと出来てとにかく過ごしやすかったにこの上なかった。
韓国にいたら多分こんな生活は送れなかっただろう。
韓国にいたら多分こんな生活は送れなかっただろう。
その上父である皇帝陛下の古くからの親友であり世界的にも映画界で活躍するリュ ファン氏の計らいと推薦で早くから大きなアニメスタジオで実践を兼ねてスタッフとして採用してもらえた。
イ ソンという一個人としてスタッフになり、認めてもらうことが可能になったのだ。
だから毎日が楽しくてあっという間に過ぎて行った。
だから毎日が楽しくてあっという間に過ぎて行った。
でも。今度ばかりはわがままは言えないよなあ。
なんていったってリュ小父さんが僕の仕事を認めてくれて新しいスタジオでのチーフディレクターを任せてくれるのだし。
キョム兄さんのお手伝いをしながらアニメ制作できるなんて恵まれた環境にあるんだからさ。
なんていったってリュ小父さんが僕の仕事を認めてくれて新しいスタジオでのチーフディレクターを任せてくれるのだし。
キョム兄さんのお手伝いをしながらアニメ制作できるなんて恵まれた環境にあるんだからさ。
それに、、僕の大事な‘星’はあそこで輝いているはずだし。
サングラスに帽子をかぶり最後にひっそりと飛行機に入ったこともあり、ファーストクラスの座席に誰にも気づかれないまま腰を落ち着けることができた。
丸めた雑誌を広げソンはまたそれに目を通し始めた。
丸めた雑誌を広げソンはまたそれに目を通し始めた。
「殿下。本日でございますが帰国後通常でございますと宮へのご挨拶を先にいたしますのですが、皇后さまよりそのままグランドホテルで行われます会合に向かうようにとのお申し付けでございます。」
カン内官が口を開いたのは飛行機が飛び立ち東京上空を旋回し始めた時だった。
「ホテルでの会合?さっそく公務?」
「正式な公務ではないとのことでございますが、それに準ずる、とのお話でございます。陛下もご出席なさるとのことでございます。」
「陛下も、ですか?それは気を引き締めないとですね。」ソンはつぶやくように言った。
カン内官が口を開いたのは飛行機が飛び立ち東京上空を旋回し始めた時だった。
「ホテルでの会合?さっそく公務?」
「正式な公務ではないとのことでございますが、それに準ずる、とのお話でございます。陛下もご出席なさるとのことでございます。」
「陛下も、ですか?それは気を引き締めないとですね。」ソンはつぶやくように言った。
僕のキャラはどうしたって公務向きじゃないんだけどなあ、、
早速難関かあ。
早速難関かあ。
ソンは小さくため息をついて首を横に振った。
何事もなく飛行機は定刻に金浦空港に入り、ソンはパークハイアットソウルへと向かった。
「ところで何の会合なんですか?」
「はい。王立大学の芸術学部で新しい学科がいくつか創設されます。その記念祝賀会でございます。」
カン内官はそう言ってソンに資料を手渡した。
ソンはそれに目を通し始めた。
「はい。王立大学の芸術学部で新しい学科がいくつか創設されます。その記念祝賀会でございます。」
カン内官はそう言ってソンに資料を手渡した。
ソンはそれに目を通し始めた。
アニメーション映像科、小説マンガ創作科、デジタル映像研究科、音響技術芸術科、パーソナリティー表現科。
昔なら王立学校芸術部にこんな低俗なもの、と一喝されたであろう科ばっかりだ。
だが、父はすでに以前にも実用音楽科、放送技術科など今まではなかった学科を母とともに増設し王立学校を変えていた。
昔なら王立学校芸術部にこんな低俗なもの、と一喝されたであろう科ばっかりだ。
だが、父はすでに以前にも実用音楽科、放送技術科など今まではなかった学科を母とともに増設し王立学校を変えていた。
さすが父上と母上だ。お二人はやっぱり僕の誇りだなあ。
あ。ヒョジュの父上と母上もいらっしゃるんだ。
ヒョジュは来ているかなあ。
ヒョジュは来ているかなあ。
チャン ヒョジュ。
そう。父と母の大親友であるチャン ギョン、イ ガンヒョン夫婦の次女でありソンの同級生でもある。
そう。父と母の大親友であるチャン ギョン、イ ガンヒョン夫婦の次女でありソンの同級生でもある。
そして―ソンの‘心の星’。
『何怒ってるの?チャン ヒョジュ。僕は気にしてないよ。あいつらの言うことなんて。それに確かに兄さんたちと比べたら僕の成績は確かに劣るしね。』
ソンはバックパックを両手で抱え頬を真っ赤に上気させて肩で息をしているヒョジュに言った。
『劣るって、別にあんたの成績、ごく普通でしょ!赤点取ってるわけじゃないし!それに水彩とイラストは最高点よ?馬鹿にされる筋合いなんてないはずだわ!あんた悔しくないの!?』
ヒョジュはバックパックを握りしめて怒っていた。
ソンは腹を立てているヒョジュを見ながらヒョジュがなぜバックパックを背負わずに両手に抱えているのかそれが気になって仕方がなかった。
ヒョジュがこの時間にここに来るときは必ずバックパックを背負ってやってくる。
なのにその日はいつも背負っているバックパックを両手に抱えていた。
何か大切なものでも持っているかのように。なんでだろう。
でもそのタイミングでそれはさすがのソンでも聞けない。
『悔しくないわけじゃあないけど、慣れてるって、言うか。』
バックパックへの疑問のほうがなぜかソンの頭を占めてしまいヒョジュの怒りを鎮める気遣いはソンにはできなかった。
『だから!だからあんたはだめなのよ!』
ヒョジュは握りしめていたバックパックをさらにギュッと抱えて、踵を返し教室から出て行った。ソンはなぜか追いかけることもできずにその後ろ姿を見つめていた。
ソンはバックパックを両手で抱え頬を真っ赤に上気させて肩で息をしているヒョジュに言った。
『劣るって、別にあんたの成績、ごく普通でしょ!赤点取ってるわけじゃないし!それに水彩とイラストは最高点よ?馬鹿にされる筋合いなんてないはずだわ!あんた悔しくないの!?』
ヒョジュはバックパックを握りしめて怒っていた。
ソンは腹を立てているヒョジュを見ながらヒョジュがなぜバックパックを背負わずに両手に抱えているのかそれが気になって仕方がなかった。
ヒョジュがこの時間にここに来るときは必ずバックパックを背負ってやってくる。
なのにその日はいつも背負っているバックパックを両手に抱えていた。
何か大切なものでも持っているかのように。なんでだろう。
でもそのタイミングでそれはさすがのソンでも聞けない。
『悔しくないわけじゃあないけど、慣れてるって、言うか。』
バックパックへの疑問のほうがなぜかソンの頭を占めてしまいヒョジュの怒りを鎮める気遣いはソンにはできなかった。
『だから!だからあんたはだめなのよ!』
ヒョジュは握りしめていたバックパックをさらにギュッと抱えて、踵を返し教室から出て行った。ソンはなぜか追いかけることもできずにその後ろ姿を見つめていた。
あれは留学に行くちょっと前だったっけ。僕の誕生日だったからよく覚えている。
僕の誕生日なのにヒョジュが怒っていてつまらなかったっけ。
僕の誕生日なのにヒョジュが怒っていてつまらなかったっけ。
ソンは制服を着たヒョジュのいつになく腹を立てていた顔が脳裏に浮かんだ。
両親が親友同士であったことと皇太子であり兄であるキョムとヒョジュの兄ゴンが親友であったこと、そしてヒョジュの姉ガンヒと皇太子妃であるカン テヒが親友であることも手伝って、幼いころからソンはヒョジュと近かった。
母チェギョンに言わせるとヒョジュは母ガンヒョンと性格がかなり近いらしい。
母に言わせるとヒョジュの母は「とにかく才色兼備、しっかり者で頼れる姉御肌。一見見は冷たくてかなりきつい性格に見えるけど本当はとてもあったかくてかわいい人。」だそうだ。
そしてヒョジュは「それよりもはるかにきつくてしっかり者。」だと。
母に言わせるとヒョジュの母は「とにかく才色兼備、しっかり者で頼れる姉御肌。一見見は冷たくてかなりきつい性格に見えるけど本当はとてもあったかくてかわいい人。」だそうだ。
そしてヒョジュは「それよりもはるかにきつくてしっかり者。」だと。
そうだ。ヒョジュは学年でも1位2位を争う優秀な成績だった。
そして誰からも頼られ男子はたじたじのしっかり者。そして容姿端麗。
いつも成績を争っていた男子はヒョジュを明らかに狙っていたと思う。コ シヌって言ったっけ。
『チャン ヒョジュに似合うのは俺ぐらいなものさ。』
そう言ってヒョジュを追いかけてたっけな。
ヒョジュはいつも『あんたの顔なんて見たくもないわ。その鼻へし折ってあげましょうか?』って顎を上げてたっけ。
でも本当は悪い気はしてなかったのかもしれないよな。
そして誰からも頼られ男子はたじたじのしっかり者。そして容姿端麗。
いつも成績を争っていた男子はヒョジュを明らかに狙っていたと思う。コ シヌって言ったっけ。
『チャン ヒョジュに似合うのは俺ぐらいなものさ。』
そう言ってヒョジュを追いかけてたっけな。
ヒョジュはいつも『あんたの顔なんて見たくもないわ。その鼻へし折ってあげましょうか?』って顎を上げてたっけ。
でも本当は悪い気はしてなかったのかもしれないよな。
だけど。ヒョジュはずっと、そうずっと、僕の‘星’なんだ― そう、今も。