これはDon't let me go 第1章世界には愛しかないの続編です.
テーマのところをタップして頂ければ読めるので是非!





西島side






7月16日月曜日




制服よし




髪型よし




誕プレよし




日高に怒られた時の言い訳よし





西「、、学校行くか」




今日は素直になる.  なんて密かに気合を込めて家のドアを開ける.   _____と.




宇「おはよーっ!」




心なしかいつもよりポニテが高い実彩子が駆け寄ってきた.   いつもなら遅いとか変態とかいうくせに今日はにこにこふわふわしてるし.




西「テンション高っ」




宇「今日はなんの日でしょうっ」




ふふふ、なんて口元を覆ってニヤケを隠して.   俺がそのワードを口に出すのを心待ちにしているよう.




_____そんな実彩子には意地悪を.




西「……なんかあったっけ?ごめん覚えてねぇ」




宇「…え?…最低、ばあかっ」




ポカンとした実彩子.   その数秒後、視線を地面に移していじける始末.   





宇「……っなんで忘れちゃうの




下を向きながら呟く.  愛おしくて愛おしくてあえなく俺の意地悪は中止.




西「……忘れてねえよ、____Happy Birthday」




宇「…遅い」





実彩子が睨みつけてくる.   バッグにわんさか付けられたぬいぐるみやキーホルダーで怖さは激減してるわけだけど.




西「…わりぃ」




宇「……今日宇野家でパーティーする…よ?」




西「行く」





宇「……わかった」





いつのまにか学校は目の前だった.   …プレゼント、渡せなかったな.    後悔を抱えながらも昇降口に入る前に実彩子の手を握った.





宇「へ?」





西「はぐれたらやべえだろ」





宇「もう私子供じゃないしっ……」




ぶつくさ文句を言う彼女を引っ張って人の波を掻き分けて掻き分けて.    人の波に飲まれそうな実彩子を慌てて引っ張り出す.    どうにか脱出して教室のドアを開けると伊藤と日高が駆け寄ってきた.




千「おはよ宇野ちゃん!!Happy Birthday!」




宇「わぁ…!ありがとう千晃っ」




日「映画デートどうだった?」




宇「で、でーと?」



千「…鼻血事件……」




日「ぶっっ!ちょっ千晃やめろよっバレるバレる」









……え??







西「まさか……お前たち……」




悪い.  悪すぎる予感.   嘘がつけない伊藤がテンパっているのを見てその予感は的中していると悟る.




千「べっつに偵察なんてしてないよねだっちゃん!」





日「そうそう俺たちもデートしててさぁ、」





西「……日高伊藤まじ殺す」





千「いやぁぁぁ」




あの手繋いだところも?俺が鼻血を出したところも?見られたらNGなことが多すぎて頭を抱える.   …最悪だ.





日「で?宇野、どうだった?」




宇「え?でーとなの?え?」




実彩子の耳は沸騰しそうなほど真っ赤で試しに触ってみたら更に赤くなってバシンと叩かれる.   デートというワードに混乱しているようだった.




西「……デートっつーか遊びっつーか」




千「やーん宇野ちゃん可愛いー♡」




宇「……っ千晃はっ倒すよ!?」




いやーんなんていう効果音を出す伊藤に応戦する実彩子.   2人を眺めていると不意に日高に肩を押された.





日「お前……告白してねぇな?」




西「…、機会逃した……」




完璧な言い訳を考えて来たはずなのに、獣みたいな鋭くて大きい日高の眼に頭が真っ白になって全く口が動かない.   .…金縛りにあったような感覚.




日「……ヘタレもここまでくると笑っちゃうな」


     

はん、なんて完全に馬鹿にした笑い方の日高.   ムカつくけど反論できるわけもなく.




西「返す言葉もございません……」




日「今日絶対行動しろよ?なんてったって宇野の誕生日なんだから」




西「わかってるって」





“いい報告待ってま~す”   




_____ふざけ気味に笑った日高の言葉が重く深く俺の心に突き刺さった.




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