「お前さ、なんでいっつも喋んねぇの?」
放課後の教室。
忘れ物を取りに行こうとしたら、
そんな声が聞こえてきた。
覗いてみると、
フードを被り、俯いている
日高光啓の姿があった。
クラスメイトだけど、ほとんど声を聞いたことがない。
「気持ち悪ぃんだよ…!!」
ドンッッッ
鈍い音が響いた。
日高さんが、クラスメイトに押されて、
床に倒れたらしい。
「なんで抵抗しねぇんだよ…なんか言えよ」
日高さんが、蹴られている。
それでも、彼は抵抗しない。
助けないと。
体が勝手に動いて、
教室に入っていた。
「ねぇ、やめなよ!!!」
日高さんの前に立つ。
「っ…なんだよ…」
そう言って、クラスメイトは去っていった。
「だ、大丈夫…? 立てる?」
側に行き、声をかける。
何も喋ってはくれないが、
立てるようだ。
「保健室行かなくても、大丈夫?」
彼が、頷く。
「あ、あの…」
手を掴んできた。
震えている。
「ん…?」
_「あ、ありがとうございました…」