ハワイといえば、青い空とどこまでも続くオーシャン。
ホテルの部屋ももちろんオーシャンビュー。
けれど、心の奥では「再発」という言葉がふと影を落とし、
澄んだ青よりも、ミッシェルズから見たオレンジ色のサンセットのほうが、
今の私にはしっくりと馴染んだ。
最初にミッシェルズを訪れたのは1990年10月。
姉のように慕っていた韓国人のスーサンに、
朝食へと連れて行ってもらったのが最初だった。
エッグベネディクトを口にした瞬間の感動——
今でもはっきり覚えている。
次に訪れたのはその年の12月。
ルームメイトのエミリーのおごりで、
「ドレスコードがあるから」と言われ、めいっぱいのおしゃれをして出かけた。
何を食べたかは思い出せないけれど、
当時はまだ、“美味しい”の基準も、“名物”の意味も知らなかった。
今は違う。
この仕事を通して、日本でも世界でも、
数々の名店で食事をする機会をいただいた。
どこのレストランに行くにも。事前にしっかりとリサーチして臨む。
ロブスタービスク、
そしてシーザーサラダは、やはり絶品。
私は肉料理よりも、やはりブイヤベースが好き。
ブイヤベースの写真がないのが、ただひとつの心残り。
でも、あのサンセットが、
何よりも鮮やかに焼き付いている。


