ワーママだったけど、乳がん治療中

ワーママだったけど、乳がん治療中

自然妊娠で、46歳と11か月で高齢出産し、旦那、息子をほったらかしにして海外出張に行っていたら、コロナでStay in Japan . そんな時、61歳で乳がん発覚、
ステージ2A、ホルモン受容体陽性、Ki67は50%、悪性度2.

ホルモン治療10年って長すぎ!

髪の毛のこと

化学療法――

いわゆる抗がん剤治療が始まると、

点滴から約2週間ほどで髪の毛が抜け始める。

 

頭皮冷却を行わない場合、

多くの人が2~3週間でほぼすべての髪を失うという。

 

私も、あっという間に髪が抜け落ちた。

床に落ちた髪の毛を見つけるたび、心がざわついた。
 

鏡の前に立つたび、変わっていく自分の姿に言葉を失った。
まるで何か大きなものを奪われたような喪失感だった。

 

けれど――

髪が

すべてなくなった時、

ふと思った。

ああ、私の顔って、

卵形だったんだな。

 

誰かに指摘されたわけでもなく、ふと鏡に映る自分を見て

そう思った瞬間、ほんの少しだけ笑えて、

少しだけ楽になった。

 

本当は、頭皮冷却をしたかった。
あの頃、私が通っていた大学病院では、

まだ導入されていなかった。


試験的に始まっていたけれど、

私はその対象ではなかった。

 

抗がん剤の種類や投与量によって、脱毛の程度は人それぞれ違う。
中には、一時的な脱毛ではなく、

治療後も髪が戻らない「永続性脱毛症」になることもある。

 

病院で出会ったある看護師さんは、

治療後に髪が生えず、今もずっとウィッグを使用していると言っていた。

 

私が使用した「タモキシフェン」という薬も、

けっこう髪が薄くなることで知られている。


これは、抗がん剤治療から2ヶ月後に撮った写真。

氷で冷やした頭頂部と、

あまり冷やさなかった側面――
その生え方の違いは、

目に見えて分かった

 

でも、髪の苦難はこれだけでは終わらない。

化学療法のあとに始まるホルモン療法。

 

女性ホルモンの働きを抑えるこの治療は、

更年期のような症状を引き起こすこともある。
そして、薄毛もそのひとつだ。

 

私の場合は、治療が10年。
サイドの髪の毛が特に薄くなっている。
もちろん、全体的にもボリュームは減ったけれど、

冷やさなかった部分が特に薄いのがよく分かる。

 

10年もホルモン療法を続けたあと、治療が終わる頃には私は70代。
 

そうなってから「さあ、髪が戻るか」と言われても、

それはなかなか難しい話だ。

 

抗がん剤は、細胞分裂の活発な「がん細胞」を狙って攻撃する。
でも、同じように分裂が盛んな髪の毛や爪の細胞にも

ダメージを与えてしまう。
その結果、細胞がショック状態に陥り、

しばらく活動をやめてしまうのだという。

でも、こうして髪について悩めること自体が、

少し前の私からすれば、

とても贅沢なことかもしれない。

 

 

 

ある薄毛治療の広告を見かけた。
正直、とても興味がある。

 

この広告
すごく興味あるけど


でも――今、私は女性ホルモンを抑える薬を飲んでいる。
そんな私が、発毛治療を受けても大丈夫なんだろうか?

その治療薬には、女性ホルモンが含まれていないのか?

気になる、けれどちょっと怖い。

 

とはいえ、あの薬には「ミノキシジル」という強い発毛成分が

入っているらしい。
 

どうしようか――悩む日々は続く。

でも、こうして髪について悩めること自体が、

少し前の私からすれば、とても贅沢なことかもしれない。