バフェットが投資した5大商社、各社の業績は…
ウォーレン・バフェット氏が、日本の5大商社、三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅に、発行済み株数の5%ずつ投資したことを、自らの90歳の誕生日である2020年8月30日に発表しました。実際には、バフェット氏が率いる米バークシャー・ハサウェイの子会社を通じた投資ですが、バフェット氏が日本株を大量保有するのは初めてとされ、世界的な有名投資家による日本株投資が当時話題になりました。あれから、今日で丸4年が経過しました。今でもなお、バフェット氏が投資したことは投資家に意識され続けています。

あのとき、もし、我々、一般投資家も5大商社株を20万円ずつ、合計100万円買っていたら、今ごろいくらになっていたのでしょうか。

はじめに、5大商社の2024年3月期の決算を見てみましょう。当期純利益の高い順に紹介します。

三井物産 1兆637億円
三菱商事 9640億円
伊藤忠商事 8018億円
丸紅 4714億円
住友商事 3864億円

トップ2社は当期純利益が1兆円クラスになります。ここ数年の各社の業績は、強弱はあるものの概ね好調に推移しています。

5大商社の強みとリスク

次に、どのような会社なのか、5大商社・各社の特徴をご紹介します。

三井物産は、金属資源とエネルギーに強みを持ちます。売上高の40%程度を占めます。よって、それら価格が上昇すれば業績にプラスです。その逆で、それら価格が下落すれば業績にマイナスに作用することがリスクといえるでしょう。また、ロシアのLNG事業に複数関わっていることもリスクにあげられます。非資源事業を育成している途上にあります。

三菱商事は、売上高日本No.1の総合商社です。資源事業と非資源事業の比率がおよそ半々で総合力があります。今では多くの企業が導入する累進配当の元祖的存在です。かつて、資源安によって赤字決算をした反省から、非資源事業の育成に注力しています。リスクは、資源事業が半数を占めるため資源安といえるでしょうが、中期経営戦略2024年にて「金属資源や天然ガスの価格要因を除いた利益の着実な成長を目指す」旨言及しています。

伊藤忠商事は、非資源事業と中国、国内事業に強みを持ちます。非資源事業の比率が売上高の約70%と高いことは、前出の2社と異なるところです。また、コンビニエンスストア「ファミリーマート」、スポーツ用品「デサント」、輸入車販売「ヤナセ」など、消費者に身近な事業をしていることも特徴にあげられます。商社のなかでは、景気変動耐性があるといえるでしょう。

潜在的リスクは、昨年何かと話題になった「ビッグモーター」を買収したこと。一般的に不祥事は再発しがちなことも含め、マイナスからのスタートといえるでしょう。とはいえ、同社の巨大な売上高に、ビッグモーターが占める割合はそれほど大きなものではありませんので、過度な心配は無用でしょう。あとは、収益が国内に偏っており、他の商社に比べると海外に弱いとも取れます。

丸紅は、農業や食料関連および電力に強みを持ちます。リスクは農業に関わることから天候不順といえるでしょう。投資にあたるデメリットは、上位3社の予想PERは2桁あるのに対して、同社は8倍台に留まり、投資先として相対的に人気が低いとみられることです。

住友商事は、石油・天然ガスの採掘に使われる油井管、そしてCATVなどメディアに強みをもちます。投資にあたるデメリットは、予想PERが5大商社のなかで最下位の7倍台しかないこと、実績PBRが5大商社で唯一の1倍割れであることでしょう。業界上位に投資するのがセオリーであることを鑑みますと、仕方がないと思います。

この4年間の株価推移
次に、5大商社この4年の株価を比較してみましょう。株価は8月23日の終値で統一しています(以降も同様)。


株価は、2024年8月初旬の「利上げショック」で下落しましたが、それでも4年間で約2.5~約3.9倍に上昇しました。この成績なら申し分ないでしょう。

4年前に100万円投資していたら…
それでは、各社に20万円ずつ、合計100万円投資していたら、今ごろいくらになっているのか検証しましょう。


2020年8月の終値で、20万円投資すれば、それぞれ何株買えたでしょうか。
三井物産は957円でした。よって、209株買えます(端数まで表示すると208.99株)。
三菱商事は837.5円でした。よって、239株買えます(同238.81株)。
伊藤忠商事は2723.5円でした。よって、73株買えます(同73.43株)。
丸紅は639.6円でした。よって、313株買えます(同312.70株)。
住友商事は1374.5円でした。よって、146株買えます(同145.51株)。
合計で99万9863円(約100万円)です。

それが2024年8月23日にはどうなったのでしょう。

三井物産 3019円×209株=63万971円
三菱商事 2971円×239株=71万69円
伊藤忠商事 7110円×73株=51万9030円
丸紅 2460.5円×313株=77万136円
住友商事 3373円×146株=49万2458円

合計で312万2664円になります。

この4年間で株価は3.12倍になったことになります。

投資額(簿価)に対する配当利回りは…
さらに、配当金も見てみましょう。商社は高配当&増配で人気があります。私もそこに魅力を感じて商社上位3社に投資しています。投資額(簿価)に対する配当利回りはどうなっているでしょうか。

投資額に対する配当利回りは次のようになります。
※計算式:配当予想÷投資時の株価(簿価)×100

三井物産 100円÷957円×100=10.45%
三菱商事 100円÷837.5円×100=11.94%
伊藤忠商事 200円÷2723.5円×100=7.34%
丸紅 90円÷639.6円×100=14.07%
住友商事 130円÷1374.5円×100=9.46%

4年間で株価は3.12倍、投資額に対する配当利回りは7.34%~14.07%です。含み益としても配当としても、2度美味しい投資になりました。
今後の商社株の展望

最後に、商社株の展望を記述します。

商社は、ワールドワイドにあらゆる事業を行なっており、現在利益が出るもの、将来性のあるものいろいろです。非資源事業を成長させつつ、事業ポートフォリオが多岐に渡っています。よって、商社株に投資することは、ある意味で「分散投資」になりうると考えます。

他方で、商社の業績は、世界の景気動向、世界の地政学リスク、気候変動、新興国のカントリーリスク、資源価格および為替レートに左右されやすいです。また、前半で記述した各社独自のリスクもあります。

私は、ワールドワイドなビジネスモデルや株主還元に魅力を感じますので、これらリスクを背負ってでも、商社上位3社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事)の株式を長期保有していく予定です。特に、長期保有することで、投資額に対する配当利回りが上がっていき、超高配当化することに期待しています。

商社株は高配当株・増配株として人気があります。新NISAと相性がいいといえるでしょう。

日本の商社以外にも日本、米国、カナダ、欧州、豪州、アジアなどに高配当株・増配株が存在します。それら優良銘柄を狙い撃ちした投資を提案します。この8月の暴落相場でも、配当金がある投資法なら、比較的心が穏やかにいられるものです。また、日本がダメなときは米国が、米国がダメなときは日本が、またはその他外国が、互いに補完し合うことを期待できます。