2014年10月26日、インドのパラディップ港を出港。
この時点では、次の航海は「穀物を南米で積みアジアで降ろす」という漠然としたことしか決まっていませんでした。
南米の積み地は、大西洋側だとブラジルかアルゼンチンしかありません。
陽気な人が多く、貨物倉の清掃検査もそれ程厳しくないブラジルだったらいいな、と皆で話していました。

2まず水洗い

出港した次の日は、石炭で汚れたデッキを水で流し、船内を清掃しました。
そして、出港翌々日から水洗い開始。
これは、貨物倉の蓋を全開にして、上の方をモップでこすりながら洗っている様子。
座って楽しながらやってるように見えますが、この下は貨物倉の床まで20mの高さがあるので、かなり危険な作業です。
安全帯をつけてはいるのですが、船は揺れるので結構怖い。

3倉内水洗い

自分は、船員になる前に、貨物検査人として働いていた事があるので、清掃のコツはわかっていました。
積載する貨物に、異物が入ってしまう事が一番怖いので、徹底的に水洗いをすることにしました。
南米まで一ヶ月、しかし、天候が悪いこともあるので、正味3週間ほどで清掃作業を終わらせたい。
まず、7つある貨物倉の水洗いに一週間かけることに。

4いい天気なようだが全開にはできない

いい天気なように見えるが、うねりが出てきて貨物倉の蓋を全開にする事が出来ない。
全開にすると、倉内が明るくなって作業効率がいいのだが、蓋には鉄の車輪がついていて、ゴロゴロと動くようになっているので、下手をすると蓋を落としてしまう。

5薬剤吹付け

水洗いの次は、薬剤を吹き付ける。
この吹付けも、揺れる船上では難しい作業だ。

6薬剤吹付け2

手の届く範囲は、モップでこすることにした。
一等航海士も加わり、試しにみんなでこする。

7効果ばっちり

左が、薬剤散布済み、右が未散布。
効果ばっちり。
これなら、塗装しなくて良さそうだ。
この年の正月、狂ったようにペンキを塗り続け、アメリカで検査を落ちた苦い思い出に比べて、今回はかなり効率がいい。

8作業が終わり陽が暮れる

作業が終わり、陽が暮れて、当直乗組員を除いて、憩いの時間が訪れる。
ゆっくり休んで、明日も安全作業!

9船用金もばっちり合い安心

これは、自分の仕事。
お金の管理だが、2か月間帳簿が合わずにおかしいなぁ?と思いつつ、原因がわからなかった。
しかし、よくよく見てみると、繰越金の間違いに気づき修正したらぴったりに。
こういう仕事のセンスは余り良く無いので、苦手だ(苦笑)。

10アフリカ最南端で電波ゲット

アフリカ最南端のアガラス岬を通過。
手前のポートエリザベス沖より、携帯の電波が入る。
ローミングでネットにつなぎ、新しい車のカタログなどを眺めたり、家族と電話したりする。
航海中は、衛星電話も使えるよう乗組員に開放しているのだが、やはり電波が衛星に行ったり来たりする間に少し間が空くので話しづらく、携帯の方が気軽に話せる。

1パラディップからツバロンまでの航程

大西洋に入り、用船者から、積み地がブラジルのツバロン(Tubarao)、揚げ地がベトナム2港揚げ、と連絡が来た。
ブラジルもベトナムも、穏やかな人が多い、いい国だ。
皆で喜び合う。

11クジラがジャンプ

クジラがジャンプしていたので写真を撮ったが、ただ棒が出ているようにしか見えない。
写真下手ですいません(笑)。

12コーミング塗装

最後の仕上げに、少しすすけたように見えた、蓋の回りを塗装する。

13ランドフォール!

11月23日、一ヶ月近い長い航海も終わり、ランドフォール(陸地初認)!
総航程8,795海里(16,288Km)も走った。
さて、清掃検査は一発でパスする事が出来るでしょうか?
かなりドキドキです。