舵が効かずに、恐ろしい思いをしたシンガポール海峡通過から5日程たった、2014年10月9日、インド北部の港町、パラディップ港の沖に到着して錨を下ろす。
しかし、サイクロンが接近してきて波が次第に高くなり、錨が利かなくなる恐れがあるので、船を沖に出すことにした。
二日ほど、沖でふらふらと船を漂流させてから再び錨地に戻り錨を打って停泊、5日程待ってようやく10月18日、水先案内人が乗るとの事で、船を岸に近付ける。
「16時に水先人乗船」との連絡があったので、16時ちょっと前に会合地点に着くように船を走らせたが、どんどん遅れて最終的に水先案内人が乗ったのは17時30分過ぎであった。
時間に厳しい日本では、まず考えられないルーズさ。
18時50分、CQ-1岸壁に無事着桟。
水先人、税関、貨物検査人、検疫、全ての人間が煙草をくれと言う。
上げないと意地悪をされて、荷役や入国審査が滞ってしまう事があるので、黙って渡す。
火災が心配されたが、貨物倉の蓋を開けても、急に発火する事も無く、揚荷は無事に進行。
さらに、岸壁から水をかける許可も得られ、火災の恐れは完全に無くなった。
心配事が無くなったので、機関長と上陸。
あちこちに野良牛がいる(笑)。
商店街を歩くと、とてもカラフルな店を発見。
しかし、乞食が「バクシーシ、バクシーシ(お恵みを)」と言いながらまとわりつき、かなり不愉快。
インドに行くと、誰もが「物をくれ」といって近づいてくる。
あんまり行きたくない国だ。
カラフルな寺院。
タクシーの運転手に、おいしいカレーを食べさせてくれる店に行ってくれ、と言ったら、ホテルの薄暗いレストランに連れて行かれた。
インドの代表的なビール「キングフィッシャー」をガンガン飲む。
中々おいしいビールだった。
カレーとサフランライス。
さすが本場のカレーだけあって、味わい深いものだった。
しかし、前も書いたが、カレーは日本のが一番(笑)。
他の岸壁では、揚げ荷した石炭が自然発火していた。
ここの石炭は燃え尽きて白くなっている。
これだけ、あちこちで燃えているのに、一向に消そうとしない。
以前行った、同じインドのビシャカパトナムでは、火が着いたら消していたのに、ここでは誰も消そうとしないので、港内が煙に包まれている。
8日間に渡って停泊したインドを、10月26日ようやく出港。
次の荷物は穀物なので、ブラジルまでの一か月間は、毎日貨物倉の掃除だ。