船長として大事な仕事に、対外的な交渉をスムースに行うというのは以前に書いたが、他に船内の融和を保って、船の運航を滞りなく行うというものがあります。
具体的に言うと、乗組員一同常日頃仲良くしていて、異常があればすぐに報告ができるような雰囲気を作る事を心掛けました。
陸上で働く職種の場合、家に帰ってしまえば、職場を忘れる事が出来ますが(仕事の事は忘れませんが)、海上勤務の場合は24時間職場にいるので、気分転換が難しいです。
なので、仕事中は仕事に集中し、それ以外の時間はリラックスして船上生活を楽しむようにと、常日頃話していました。
まずは、自分たちが実行。
新たに乗船した機関長と2人で、港近くのオープン食堂に出かけました。
陽が暮れてきて、向かいのペナン島に灯りがともり始める。
アイナメのような魚のホイル包み焼き。
中華風の、おいしいソースがかかっていました。
アサヒスーパードライがあったので、がんがん飲んで気分転換。
次の日は、ペナン島の「リム桟橋」へ。
これは昔の様子。
中国から移り住んできた華僑たちが、漁に出やすいように、桟橋に家を作ったのが始まりのようです。
いくつか同じような桟橋があり、それぞれ同じ苗字の人が住んでいます。
ここは「林」姓の人が固まって住んでいるので「林(リム)桟橋」と言うそうです。
現在のリム桟橋。
隣には、クラン桟橋があり、そっちの方がレストランのような施設があり、観光地化されているようだった。
こちらは観光地と言う雰囲気ではないが、観光客が来て写真を撮っていた。
この猫も「リムさん」なのだろうか。
ここは、海沿いにイギリスが作った「コーンウォリス要塞」。
古い大砲が、マラッカ海峡の方を向いている。
なんか、遊んでいるばっかりみたいなので、仕事の写真を(汗)。
向かいに座っている方は「船舶検査官」。
PSC(Port State Control)と呼ばれる検査で、船の状態がきちんとしているか調べられ、あまりに悪いと出港を差し止める権利を持っています。
本当に船が悪いのなら仕方がありませんが、中には賄賂目当てに、小さなことを指摘する人もいて対応が大変。
自分が船長になって初のPSC検査は、なにも異常無し、全てOKとの事でほっと一安心。