中国のトップ、習近平国家主席は、2013年に、一帯一路構想を打ち出した。
先生、それは何ですか?
次の図を見てほしい。
一帯一路構想
1からわかる!中国「一帯一路」ってなに?【上】|NHK就活応援ニュースゼミより
上のように、中国が投資することで陸路・海路の物流網を整備し、巨大な経済圏を打ち立てようという構想が一帯一路です。完成すればアジア、アフリカ、ヨーロッパのおよそ100か国に関係し、沿線国だけで世界人口の6割、GDPは3割を占める経済圏が誕生する。
先生、物流が促進されて、世界の経済が発展する、これっていいことではないでしょうか?
確かに。しかし、いくつかの疑念を持たれている。第一に「債務のわな」といわれる問題だ。中国がお金を貸して、港などインフラ(港・道路・通信設備など産業や生活の基盤となる施設)をつくるのは良いんだけど、借金を返せない場合、中国がそのインフラを管理してしまうという問題だ。
先生、中国ともあろう国がそんな高利貸しみたいなことするんですか?
うん。実例がある。スリランカが中国から融資を受けて、ハンバントタ港という大きな港を建設した。しかし、スリランカが借金を返せなくなったので、99年間にわたってハンバントタ港の運営権を中国に引き渡したんだ。
中国の事実上の侵略といえませんか?
微妙だが、中国はハンバントタ港について軍事的な利用はしないと約束している。第二に「真珠の首飾り」戦略といわれる問題がある。さっきの地図を見てごらん。インドを取り囲むように一帯一路の水路があるだろう?
確かに。
インドにしてみれば、中国に包囲されてしまったように見える。このように一帯一路構想はみんなの経済を盛り上げようというよりも、中国の世界制覇に向けての戦略ではないかという疑問もあるんだ。
それに対する対抗策はあるんですか?
うん。日本、インド、アメリカ、オーストラリアは「自由で開かれたインド・太平洋」(FOIP)構想を主張している。そして、「力」による主張ではなく、国際社会のルールを維持・強化して、秩序を確保することを訴えている。
自由で開かれたインド洋構想
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000430631.pdfより
ところで、中央アジアについて触れておこう。カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタンの5カ国を中央アジアと呼ぶ。この地域はもともとソビエト連邦の一部だったんだ。
しかし、1991年のソビエト連邦は崩壊しました。
そうだね。そこでこれらの国は独立をはたした。標高が高い土地で、レアメタル(希少金属)など地下資源が豊富だ。ところで、最近、中国との関係を深めている。なぜかな?
先生、まさか一帯一路構想と関係がありますか?
そのとおりだ。これらの国はまさにシルクロードがあったところだ。中国の一帯一路構想のもと、シルクロードがよみがえろうとしているもいえるだろう。
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