![Cho Binh Tay](https://stat.ameba.jp/user_images/b4/63/10005270662_s.jpg?caw=800)
【待ち合わせ - 市街・チョロンとか - 停電のケンタ - GH - 雰囲気のいいヴィラ - 雰囲気はアメリカンなバー】
今日は昨夜とあるビアホイで出会ったPatrickと一緒にホーチミンを見て回る。朝9時過ぎにPatrickから電話をもらったが、まだ朝食をとっていない、もうちょっとゆっくりしたいということを伝え、予定通り10時に角のカフェで待ち合わせることにした。
10時過ぎにカフェに行くと、彼が昨日と全く同じ出で立ちで待っていた。
「よく寝れたかい?」 「いやいや、どうやら風邪っぽくてあんま寝れなかったよ…」
…風邪かどうかは分からなかったけど、ノドが痛かったのと鼻が詰まってたのは間違いなかったので、まぁ風邪だろう、と。
タクシーを呼んで、まずはダイアモンドプラザに向かう。ここでPatrickの家族と待ち合わせて一緒にショッピングをしようという話になった。おまけにタクシー代とか食事代とか、今日かかる雑費は全てPatrickが持ってくれるという。驚くくらいうれしかったけど、申し訳なくも思った。…ちょっと怖さも感じたけど、何かしらいぶかしい思惑があって「おごってやる」と言ってる感じは全くしなかったので、彼のことは疑ってなかった。
…どんな家族が出迎えてくるんだろう…ダイアモンドプラザを前にタクシーを降りたおれは、急に緊張していくのを感じた。Patrickでさえ今日初めて会ったようなものなのに、家族まで一緒だと何だかやりづらい気がする… 家族ということでおそらくみんな英語を話せないだろうという予感はあった。
10分ちょっとして、Patrickの家族がやってきた。お父さんにお母さん、あと高校生くらいの女の子の3人だった。おれとPatrickはこの3人に合流して、まずはブランチを。ダイアモンドプラザの4Fか5Fにフードコートがあるので、そこに向かう。…中にはスパゲティ、フォー、カフェ、それに讃岐うどん屋があった。もっともうどん屋があるのに気づいたのは、フォーを食べ始めたあとだったが。
…まぁ、それにしてもPatrickのよくしゃべること…おれなんかそっちのけで家族との久しぶり?の会話に花を咲かせているようで、おれは仕方なく窓の外かフードコートかを眺めるしかなかった。おれの予想通り家族はベトナム語しか話せず、おれもベトナム語辞典なんて持ってないので何も話せず…外は曇っていて、今にも雨が降り出しそうな気配。…その気配も的中し、まもなく雨はその音を強めて降り出してきた。これがきっとスコールなんだろう…そしてこの家族はまだしゃべってる…よくこんなに話すことあるよなー…
ダイアモンドプラザは、日本でいうところの三越とか高島屋みたいな百貨店。ベトナムにはおよそ似つかわしくないDiorとかPRADAとかHERMESとかMONT BLANCとか、LANCOMEとかANNA SUIとか、SAMSUNとか高級なブランドが軒を連ねている感じ。アメリカには反骨精神をまだみせているのか、AppleとかCOACHとかは見受けられなかった。
食事も終わり、軽くショッピング。おれはこのビルに全く興味はなかったけど、Patrickいわく「カワイ子ちゃんばっかなんだよこの店は」らしいので、店員をウィンドウショッピングしてた。
…今までお母さんだと思ってたこの人は実はPatrickの"sister"だと聞かされビックリ。いやーこれはどうみても母親だろ…
その後は家族と別れ、軽くカフェで休んでからチョロンに向かう。チョロンはホーチミン中心部から結構離れたところにあり、タクシーでも15,20分はかかった。
だんだん通りに漢字まじりの看板が目立つようになった。心なしか、ホーチミンより往来が激しい気がする。
おれらはチョロンのど真ん中、ビンタイ市場(写真)の前でタクシーを降りた。 相変わらずこの通りはバイクの行き来が激しく、人もたくさん行き交っている。同じ市場ということでおれは2月のアタマに行った築地市場を思い出した。やっぱり市場はどの国でもせわしない。
おれはかねてからこのビンタイ市場に行ってみたかったので、真っ先にビンタイ市場に行ってみる。
…しかし、まぁ、このーね、中がスゴいんだ。どの店も品物が山積みだから。お菓子から生地から日用品から、ちょっと外に出れば食材まで、たぶんこの市場で買えないものはない、そう思えるくらいいろんなジャンルのショップが軒を連ねてる。スタッフは男性より女性の方が多かった。
ビンタイ市場を歩き回ったが、特にこれといって欲しいものも見当たらなかったし、何よりこの市場を包み込む熱気と活気に疲れてきたので、…腹も減ってきたので、外に出て中華料理の店に入る。
ここではチャーハンと堅焼きソバ、フォーと野菜の炒めもの(焼きフォーとでも言うか)をいただいた。どれもこれも旨かった。中に入ってるシーフードも、イカの味がしっかりあってうまかった。そう、シーフードが旨かった。…
結局このあとどうするかということになったが、2人とも疲れてるので、一旦ホテルで昼寝してから夜に出かけよう、今度はさっき会ったPatrickの家族と雰囲気のいいレストランで会食しようって誘いをいただいた。
…確かにおれも適度な疲労と満腹で眠気はあったけど、「レストランで会話に困らないように、ベトナム語の本でも買っておこうかな」、と、本屋で「ベトナム語 - 日本語のコンタクトの2000句」って本を購入した。38,000ドンだったから…$3いかないくらい、か。
んでその本屋にちょっと長く居座ってたら、もう昼寝する時間もそんなになくなっちゃったので、とりあえずMimiに戻って着替える。…ちょうどおれが着替えてるくらいの時にPatrickがMimiの前まで来てる、とネエちゃんから。…おれが白いシャツと9分丈のパンツで登場すると、"Wow…!"なんて歓声を上げてくれた。気分はイーネっ!!
家族と待ち合わせをすべくダイアモンドプラザのほうへ向かうのだが、さっきから腹の調子がおかしい。下痢っぽいのか。どうもさっき食べたチャーハンの中に入ってたシーフードにあたったかも、といった感じ。ちょっとヤバかったので、近くにあったケンタッキーでトイレを貸してもらおうと駆け込んだ。まぁそのケンタ、停電だったんだけどね
そんなの関係なく「とりあえずトイレ貸してくれ!」と叫んでおれは2階へ駆け上がった。こんな瞬間ほど恥ずかしいものはない。
んで、ケンタから出ると、Patrickと店員が爆笑してた。Patrickはおれがトイレを借りた一部始終を店員に話して、それがお笑いぐさになったらしい。なに、おれはベトナム、少なくともそのケンタに「笑い」と「運(ウン)」をもたらしたんだ。気分はいろんな意味でよかった。
そのあと、さっきの家族と合流する。今度はまたひとり、おれと同い年くらいの女の子が乗ってきた。この子、結構かわいかった。おれのタイプでした。
…タクシーのメーターが75,000ドンになっていた。結構な距離を走ったんだろう、30分位してようやくそのレストランに着いた。川沿いの、涼しい席に案内される。…今まで見たこともないような、高級感あふれるレストランだった。
まずはビールで乾杯。…だが、異変はこの後すぐに始まった。そう、2時間近くにわたる(おれには)気まずい空間が…
Patrickの様子がさっきからおかしい。彼は家族としゃべる時は当然ベトナム語を話すのだが、もちろんおれには分からないので「何て話してるの?」と尋ねても「いや、わかんない」としか返答しないのだ。…さんざん話盛り上がっててわかんないはないだろ… 何度か尋ねるものの、全部「いや、わかんない」の1点ばり。おれは話す気も失せ、天井を見上げるか、暗くなって何も見えない川を眺めるか、隣の席の誕生日パーティを見つめるか、それしかしなくなった。Patrickは相変わらず家族との会話に花が咲きっぱなし。一向に話題が尽きる気配はない。Patrickに限らず他のみんなも特におれを気にかけるでもなく、。お父さんはそんなおれにちょっとは気を遣ってくれたようで、何度かジョッキを持って「かんぱい!」とやってくれたけど、それっきりだった。
どのくらい経っただろうか。たぶん席に着いて1時間かそこらか、おれはまた腹を下してきた。さっきから親切なウェイターが、ビールの入ったジョッキに氷を入れてくれるのだ。しかもかなり大きいサイズのもので、ちょっとでも氷が減ってたらちゃんと足してくれる。
「余計なことすんじゃねー(ノд`)」
その時席を立ったのを機に、おれはトイレと席を往復するようになってしまった。あんまり頻繁に行き過ぎると下品なので、ちょっとはガマンもしつつだったが、それでも誰もおれの体調不良に気づいてくれず、気遣ってもくれず…おれひとり、このままタクシーで帰りたかった。
もうどのくらい経ったか分からない。そろそろPatrick一家の会話も下火になったようで、食べ残した分を袋に入れてもらって店を出る。「このあとコーヒーでもどう?」なんて提案が、"café"という単語越しに聞こえたようだったが、もうおれはとにかく早く帰りたかった。腹も痛かったけど、もうこの家族と一緒にいると疲れるんだもん…
結局caféには行かず、家族を送ってからおれらは2人、サイゴン川沿いのアメリカンなバーに行くことになった。ホントはこれも断って帰りたかったけど、昼間から約束してたので付き合うことにした。
そのバーはホントにアメリカンだった。フロアの中央でライブやってたし、内装もアメリカン。日本にもいそうなキャンギャルがいたし、全くベトナムっぽさを感じさせない店だった。店員のおねいさんも今まで街中で見かけたおねいさんと比べると結構かわいかった。
Patrickはカウンターのおねいさんを口説き落とそうと積極的に話を展開する。どうやらウケはいいようだ、カウンターの子も笑いをちょくちょく見せてた。おれはというと、ただ演奏中のライブをぼんやりと見つめてた。おれのすぐ横にちょくちょくキャンギャルの子が立ち止まる。どうやらタバコのキャンギャルだったようだけど、結構かわいくて、その子と話のきっかけをつくるべくタバコを買って…もいいと思った。 いやいや、買ったところでおれはチキンですたい 何も話せんですわ
ここでもおれとPatrickとの会話は不毛だった。会話のきっかけすら生まれなかった、っていうか。それにナゼかおれさっきからオレンジジュース飲んでるし ここバーだぜ?! まーもういい、今夜は酔っても悪酔いしそうだったから。
"If you want to leave here, let me know."とPatrickは不意に言ったが、もう帰ろう、今日は疲れたし腹の調子もさっきからおかしい、というようなことを話して、そのバーをあとにする。…これでようやく帰れるんだ…
「…たぶんまた明日電話するわ」、朝待ち合わせた角のカフェの辺りでおれらは別れた。…「たぶん」とPatrickは言ったが、まず間違いなく電話はよこさないだろう、まぁでもそのほうが助かるな…でも何だか寂しい別れ方だったな… そんなことをぼんやり思いながら、Mimiに戻ってくる。
さっきのレストランでのPatrickの振る舞いだけに限って言えば、「Patrickってサイテーだ」なんて思ってしまったけれど、それでもおれは昨日の夜会ったばかりのほぼ見知らぬ人にあれこれともてなしてもらったのだ。「おれ働いてるからダイジョーブ」みたいなこと言ってたけど、それでも額にしたら結構ついたはず。今日一日でおれが支払ったものなんて、昼に買ったあの本とペットボトルの水くらいなもん。あま会話はなかったけど、何かとおれのために気を遣ってくれた。それに対してもっと感謝すべきだった。せめて彼と写真の一枚でも撮っておくべきだったけど、買い物なり散策なりいろいろしてたらそんなタイミングすら逃してしまった。 だから、彼にとってはこんな日本人と一緒で何かと厄介な一日だったかもしれない。…せめてメールアドレスくらい控えておけばよかった。まぁでも明日はPatrickから電話をよこすことはないだろうし、おれもきっとPatrickに電話はしないだろう。
ベッドに横になりながら、だんだん複雑な心境になってきた。今日もノドの痛みは引くことなく、鼻もつまっている。今日も一日歩き回ったから疲れてて、いつもなら強烈な眠気が襲ってくるはずなのに、全然寝付けない。シャワーも浴びてカラダもあったまってるのに、ノドが痛いせいか逆に息苦しくなってくる。
…明日で帰国する。風邪を治すためだけだったら早く日本に帰りたい…!そんなさめたことを、天井を見つめながら軽く祈ってた。
今日もいつしか眠りについてたけど、やっぱり2,3時間ごとに目を覚ましてしまった。