「刑法は一番最初に答案を書けるようになる科目」と言われますが、それでも実際にやってみると難しく、定期試験でも虐殺されている人が多いです。
論文の書き方というのは、それぞれの科目である程度決まっています。
そこで、少しでも参考になればと思い、私が自主ゼミで準備した刑法の答案の書き方の基本およびオススメの本を以下に記します。
まずは、高橋則夫先生のありがたいお言葉を2つ紹介します☕
『一年間の大河ドラマにするような答案にしなければいけないのに、第2話くらいで終わってしまう答案があります。出題者の意図を汲み取ってほしいですね。』
『答案はまさに客観的帰属論です。自分の理解を答案に現実化できるか。ロースクールでもよく勉強していて議論は得意だが、答案を書かせると全然ダメという人がいます。読んで理解するのと書けることは違います。』
🌟刑法総論の書き方🌟
刑法総論の答案作成方法を以下紹介する。
① まず、問題文の「行為」を抜き出して
犯罪の成否を検討する。
なぜなら、刑法は犯罪者の「行為」を
処罰するものだからである。
どの犯罪の成否を検討するかの判断基準は、
原則として「行為者の故意」を基準にする。
問題文から故意が不明の場合は、
重い犯罪の方から検討する。
※補足※
「行為」を抜き出すとは、問題文の述語を拾っていくことである。その際、行為にマーカーを引いたりアンダーラインを引いていく。
そして、拾い出した行為のうち犯罪が成立する可能性のあるもののみ構成要件に該当しないか検討していく。問題文を読んでいきなり論点に飛びつかないように!
② 次に、構成要件→違法性→責任という
3つの要件を満たすか常に意識する。
また、客観面を検討しているのか、
主観面を検討しているのかも必ず意識する。
そして、その要件を検討する過程で論点を
処理するという姿勢が必要である。
③ 論点はなるべく説によって結論が
異なる等、実益がある場合にのみ論証する。
他は「問題となるも、こういう理由で、こう解する」
と短くしてよいと思う。
④ 論証で気をつけるのは、
まず、問題提起においてなぜ問題となるのかを
しっかり書くことである
(例えば、共謀共同正犯の成否なら
「甲は謀議に参加しただけであるが、
かかる場合も『実行した』(60条)にあたるか、
明文がないため問題となる」というように)
次に、論証は必ず本質や趣旨からのみ書くようにする。
(例えば、共犯なら共犯の処罰根拠から、
故意なら故意責任の本質から、
各論なら保護法益である。)
そうすれば、一番説得力がある短い論証が書け、
他の論点やあてはめを書くスペースができるからである。
論証については後述する伊藤塾の呉先生の本の論証が参考になります◎
⑤ あてはめでは、まず十字を作り
肯定の要素になりそうなもの、
否定の要素になりそうなものに分ける。
そして、少ない方の要素を「たしかに~」と
反対利益をして書き、多い方の要素を
「しかし~」以下で自分の結論の根拠とする。
こうすることで、自分は反対利益も
考慮しつつ調和を図っているのだ、
とアピールするよう心がけたつもりである。
また、この時に特に注意するのは、
常識に反しない範囲でなるべく有罪へ
もっていくようにするということである。
なぜなら、司法試験委員の半分は実務家
(特に検察官)だからである。
⑥ 最後に罪数処理をする。
この時に限らないが、条文は正確に引用する
(例えば、観念的競合は「54条」ではなく、
「54条1項前段」まで必要である)。
以上が総論の答案作成方法であるが、
刑法各論も基本的には同様である。
ただ、以下のような各論特有の注意点がある。
① 各論は基本的に構成要件該当性の問題である。
したがって、問題文の事実を条文の文言に
きちんとあてはめることが大切である。
これは罪刑法定主義からもいえると思われる。
② そして、論点はあてはめる過程で
出てくることを意識する。
③ また、問題文の事実をそのまま文言に
あてはめる場合でも、
「法律的に加工された事実」と「生の事実」を
区別して意識する。
すなわち、「法律的に加工された事実」、
例えば「AはBに暴行した」と問題文に
ある場合は、そのまま答案に
「AはBを『暴行』しているので」と書けばいい。
これに対して、「生の事実」、
例えば「AはBを殴った」とある場合には、
「AのBの殴るという行為は、
不法な有形力の行使である『暴行』にあたる」と
書く必要がある。
したがって、構成要件の定義は、論文直前は必ず暗記する。
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予備校の問題集はいろいろありますが、↓の赤い本の完成度は高いです。LEC(現在はアガルート)の工藤北斗講師お勧めの本でもあります(予備校が違うのに!)刑法では、事実を評価してあてはめることが重要になりますが、この本で刑事事実認定の基本的なことも学べると思います。
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2分冊になりますが、大学の授業も刑法総論と刑法各論に分かれていると思いますので、それに対応してしっかり学習したい方は、LECの論文の森をおすすめします。いきなり解くというよりも、最初は「答案を読み込んでいく」方が早く答案を書くコツを身につけられると思います。
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「勉強なくして単位なし」という刑法学者の曽根先生の言葉があります。
この記事でなんとなく書き方がわかっても、テニスで言うラケットの振り方がわかっただけなのと同じで、練習しないと書けるようにはなりませんので、ご注意ください。問題集の模範答案の写経なども意外と効果があると思いますし、時間無制限で調べながら自分なりの完璧答案を作ってみるのも力が付くと思います。
🎀参考🎀
学者の書いた基本書では、早稲田大学の高橋則夫先生(司法試験委員)は最高裁判所判事の山口厚先生の青本で新司法試験まで十分と仰っています。
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