処分については、「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」(行政事件訴訟法3条2項)とされているのみで、その内容は明らかではありません。


判例によれば、「行政庁の処分とは・・・・・行政庁の法令に基づく行為のすべてを意味するものではなく、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、直接国民の権利義務を形成しまたはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう(最判昭和39年10月29日〔判例百選Ⅱ156〕<大田区ゴミ焼却場設置事件>とされています。


これを分析すると、

当該行為が公権力の行使に当たること(公権力性)、
法的効果を有すること(法的効果)、
その効果が国民の権利・義務に関わること(外部性)、
最後に、上記の判旨からは明らかでありませんが、
その効果が一般的抽象的なものではなく、個別具体的なものであること(成熟性または個別具体性
が要件と解されています。

行政法 (LEGAL QUEST)/稲葉 馨
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最判17年7月15日〔判例百選Ⅱ167〕<病院開設中止勧告事件>に付された藤田宙靖裁判官の補足意見は、従来の判例のとってきた処分性の考え方(「従来の公式」)は、<法律→行政行為→強制執行>という比較的単純な行政活動のモデルを想定しているところ、現代行政は様々な行政形式を組み合わせたシステム(仕組み)を用いて行なわれることから、「従来の公式」には限界があることを指摘しています。


最判平成20年9月10日においても、従来の公式を使わずに、浜松市の区画整理事業の事業計画の決定に処分性を認めています。42年ぶりの判例変更です。

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080911110804.pdf

これまでは、土地を再配置する「仮換地」指定後などに初めて訴訟の対象になるとされていましたが、より早い計画決定の時点から裁判で争えることになり、行政訴訟の門戸が拡大します。町づくり事業に対する各地の住民運動に影響を与えそうな判決です。


国土交通省によると、土地区画整理事業は全国で約1300件が進行中で、このうち約90件で訴訟になっています。