香川県民の約半数が「野菜不足を感じていない」ことが明らかになった
時事通信社と四国新聞社の合同世論調査。県などは野菜の摂取量を増やそうと意識啓発に
取り組んでいるものの、「摂取量の目標値1日350グラム」はまだなじんでおらず、
野菜不足と食生活改善の必要性を浸透させる道は険しいことが浮かび上がった。
■ まずは知識
高松市内のショッピングセンターで13、14日に行われた栄養士による栄養相談や体脂肪率の測定などを行うイベント(県栄養士会など主催)。野菜や肉、魚など食事のバランスを考えてもらおうと、料理の写真カードを1食分選んで栄養士がアドバイスするコーナーも設置された。
その日の朝食や昼食に当てはめて主婦らが選んでいくカードは、トーストやおにぎり、そばだけという人も多く、野菜不足は明白。体脂肪率が高く、野菜をもっと食べるようにアドバイスを受けた高松市の40代の主婦は「350グラムという数字すら知らなかった。これから気合を入れて実践しないと」ときっぱり。意識改革には、地道な取り組みが必要なようだ。
同会の三野安意子会長は「350グラムを写真や模型で見せると『これくらいなら私も食べている』と言う人は多いが、食べているつもりになっているだけ。栄養士らが街に出向き、まずは県民に知識を付けてもらわないと」と話す。
■「小鉢5皿」
野菜料理なら小鉢で1日5皿以上取るのが望ましい。例えば、ホウレンソウのおひたしは1皿約70グラム。目標値よりも100グラム程度不足している県民は、小鉢であと1~2皿は食べたい。野菜炒めや鍋料理なら量を稼げるし、みそ汁を具だくさんにするのも有効だ。
家庭で調理するときは、皮や根など食べられない部分は除いて計算する。キャベツ1枚で約40グラム、キュウリ1本は約100グラム、ニンジン1本で約100グラムなど、主要な野菜の重さを知っていれば便利。また、大人の両手の手のひらいっぱいに2杯分と覚えておくのもいいだろう。
■ 果物は200グラム
野菜不足がクローズアップされる中、香川短大名誉学長で県食育推進会議の北川博敏会長は果物の重要性を訴える。果物に豊富に含まれる食物繊維は、便秘や肥満の予防効果があり、糖尿病予防にも役立つ。加えて、血管の老化を防ぐビタミンやカロチノイドも多く含んでいる。
望ましいとされる1日の食物繊維の摂取量が20~25グラムなのに対し、日本人の平均摂取量は14グラムと食物繊維不足も深刻。北川会長は野菜350グラムに加え、果物を1日200グラム摂取することも提案するが、日本の果物の摂取量は先進国でも最低レベルなうえ、摂取している果物の約4割は輸入ジュースなど濃縮還元され、食物繊維が含まれていないものだという。