式亭三馬の浮世風呂四編の跋文を彼の幼いときからの友人、金龍山人(為永春水)が書いているのを知った(式亭三馬、『浮世風呂』、日本古典文学大系63、岩波書店、p.308.)。そこに、「・・・妄(みだり)に陳奮翰(ちんぷんかん)を吐(はか)ず。形容(けいえう)を睟(すい)がらず、仮(かり)にも利屈臭(りくつくさき)を論(ろん)ぜず。・・・」とある。なるほどなあ、馴染みのない訳の分からぬ言葉を使い、表現に格好をつけ、理屈臭いことを言うということがないというのだ。学者さんのような高踏を以ってご商売するのでなければ、心がけたいものだ。今日一日、そういうところがなかったか、反省してみている。