手を携え | 拾い読みあれこれ

拾い読みあれこれ

きょ~も適度に息抜き、よいかげん。ゆっくり歩いて遠くまで

「・・・険路(けんろ)を辿(たど)るなれば、脚(あし)破れ血(ち)淋(したゝ)りて、道邊(みちのべ)の草を紅(くれない)に染め、彼所(かしこ)に跌(つまづ)き此所(こゝ)に倒れて、風に散る初花(はつはな)に等しく、嵐にいたむ女郎花(をみなへし)に異ならず、彦惣(ひこそう)此体(このてい)を見て、斯(か)くては何(いづ)れの日か志す所に到るべき、自ら気を励(はげ)ませよなどいひつゝ手を携(たづさ)へて扶行(たすけゆ)く。・・・
(山東京傳、『本朝醉菩提全傳』)

震災被災者への支援は集まり、復興が決意される。容易ではない長い道のりが予想され、それはまるで、被災者にとって険路を行くがごときであろう。だが生き残った者は国民すべてでもある。被災しなかった者は「手を携(たづさ)へて扶行(たすけゆ)く」。いつの日か志すべき所に到ろう。