縄につながれ | 拾い読みあれこれ

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きょ~も適度に息抜き、よいかげん。ゆっくり歩いて遠くまで

「・・・一生を斗量(はかり)にかけ尺度(ものさし)にはかり、これほどゝ限りある図(づ)の中に、身は目に見えぬ縄(なは)につながれ、人の言葉を守り人の命令(さしづ)に働き、功(こう)は後の世に残る事もなく、死しては知己(ちき)に吊(とぶら)はれ子孫に祭らるゝ夫(そ)れ丈(だけ)を差別して、さのみ犬猫と変はりもなく、夢と暮し烟(けぶ)りと消え、夫れにて汝(そなた)は満足(まんぞく)なか、・・・
(樋口一葉、『花ごもり』)

30年にもわたる長期のローンを組み住宅を入手する。まことに一生を秤にかけるようなもの。膨らむ金利の重荷に返しても返しても元本は減らず、借金の縄につながれ、人に使われカネに使われ・・・と。

それで満足かといわれれば、そうであるはずはない。しかし・・・