二つなし | 拾い読みあれこれ

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きょ~も適度に息抜き、よいかげん。ゆっくり歩いて遠くまで

「・・・金箱(かねばこ)に括(くヽ)り付けし物は何ぞと問へば、主の翁あれは浮木(うきき)といひて、若し船破損の時金(かね)は重き故に沈みけるも、此の浮木を見て捨てずといふに、其の時節ならば、乗る者生きん事難し、命の浮木はと問はれて、金銀は世に多し、舟に積むべし、命は二つなし、歩行(かち)にて長崎に行くべし。・・・」
(西鶴、『懐硯』)

カネなど世の中にはいっぱいある。二つとないものは命。しかし、金銀のために命をリスクにさらす賭けを、知ってか知らずか、している人も多いかな。