一年も終わらんとしている。正月に始まり12月に終わる、これ一年。12月が明ければ、また一年が始まる。
つまり12月は一年、一年の間を結ぶ月。この「結ぶ」は、紐(ひも)がむすぶと読み、同じく丑をむすぶとも読むことから、12月を丑と暦書では名付けているという。
振鷺亭主人の『寒紅丑日侍』は冒頭の発端の部で、その儀式を行うと一生の身の上をまざまざと見ることができるという丑待(うしまち)を取り上げて、こう述べている。
・・・祈祷所の神人(しんじん)をめされ 丑待(うしまち)の義(ぎ)を問(と)ひ給(たま)ふに 抑(そもそも)丑(うし)は紐(むすぶ)とよめり よつて暦書には正月より十二月に至り 一年のあひだをむすぶといふこヽろにて 丑(うし)と名づけて十二月にあてたり 易(えき)にとつては艮(ごん)の卦(け)にて 万物のをはりをなすところにて 又(また)始(はじめ)をなす所なり 時は夜(よ)八ッの刻(こく) これ太陰(たいゐん)のきはめにて 一陽(いちやう)をきざすはじめなれば 此時(このとき)一心に観念すれば 一生の身の上をしることさらに疑ひなしとて ・・・
(振鷺亭主人、『寒紅丑日侍』)
この続きに丑待の記述があるが、真に受ける人がいるといけないので省略するとして(^_^)、とにかく丑は大陰の極まり、陽の兆す始め、その結びの頃をいま、ちょうど迎えんとしている。
今年、不景気を極めた方々、明くる初春に明るい萌しを見るか。
いやあまりの陰の極みに、己が一生をかいま見たい気分か。
さすれば、丑待。
その行を行い、「丑みつすぐるころおいに いづれも身のうへの行末(ゆくすゑ)ありありと見えたる」とあるから、ひとつ試してみるか・・・(^_^)
まあ、冗談はさておき、丑の月も終わり、後数日で新年である。