音蔵 知らざあ言つて聞かせようか、先ず其の内の第一は、太閤様が物好きで金(かね)にあかして拵へた金銀づくめの安宅丸、伊豆へ行かうと其の船が啼いたなぞと詰らねえ、取るにも足らぬことを言ひ、此の儘おけば御当家へ祟りをなすと毀してしまひ、その金銀の金物をお払い下げになつたのは、ほんの半分、其の跡はみんな引摺り込んだ、それから続いて京都の大仏、無益なものと潰してしまひ、その唐銅(からかね)で銭を鋳させ、天下の宝を殖(ふや)すなどヽお為ごかしに半分から、取込んでしまつたのも、何と道に欠けて居るぢあねえか。
(黙阿弥、『黄門記童幼講釈』)
なんとも最近の政治の経済の一論議をみているような気もするか(^_^)、いや見当違いか・・・