こんにちは。


少し初心にかえり、懸魚というものを多角的な面から知るために

現在までの研究者の方々がどのような分析をしていたかということを紹介したいと思います。


様々に異なる観点から研究されているので、一度興味のある方は

あまり長くはないものばかりなので、読んでみると非常におもしろいと思うのでおすすめ致します。

以下が懸魚に関する主な既往論文になります。



<民俗学的観点>


○桑原稔 「懸魚の源流」 『民俗建築』 日本民俗建築学会 2003.5

 中国における懸魚に関する民間伝承の観点から取り組んだ。日本の懸魚に魚の形を表すものは一つもなく、「魚を懸ける」という連想は、全く浮かばないという見解が示されている。また、何故懸魚が使用されているのかということに疑問を抱いている。


○飯田須賀斯 「魚形の懸魚」 『日本建築學會研究報告』 一般社団法人日本建築学会 1952.10.10
 古代から近世までの文献より文字的証拠から分析、考察すると同時に、日中での懸魚における魚の形に注目することで懸魚の源流とされる魚形懸魚に対する考え方の展開に由来するものと推測している。




<建築学的観点>


○白井裕泰 「蜘蛛流大工棟梁横田氏の懸魚絵様について : 横田家大工文書の研究(7)」 『共栄学園短期大学研究紀要』 共栄学園短期大学 2002.3.31
 一つの大工文書と近世に公刊された七つの木割書における懸魚絵様の比較考察を行っている。


○坂田泉 「9. 明治期に於ける洋風建築の妻飾り(日本建築の懸魚的要素を持つ)について」 『日本建築學會研究報告』 一般社団法人日本建築学会 1957.8

 妻飾りの装飾における懸魚のあり方という観点から研究されている特に日本と欧米との対比において、懸魚の有無により擬洋風建築の由縁を探っている。また、懸魚のあり方を構造的なものとして捉え、魚の生態などの民俗学的な観点からは一切触れていない。



その他にも一般図書において、懸魚に関する既往の研究がなされているので、

随時リストにしまして今後載せていきたいと思います。


それでは(・∀・)