明日で祖母の四十九日。

いつの間にかこんな時間がたっていた。

僕にはまだまだ時間が足りないみたい
実家に向かう電車の中ぼやっと考えるのはやっぱり祖母のこと。
電車におばぁちゃんがいると席を譲る
当たり前だけど、しない人が多い。
多分僕がそれを当たり前として出来るのは祖母と一緒に暮らしていたからだろう。





些細なことも祖母に繋がってしまう僕はまだまだ弱虫なんだろうなって
祖母との別れを受け入れてない

でも忘れないことが一番のおばぁちゃん孝行って言われた。


とりあえず落ち着いてきたから

四十九日終わったら俺しばらく会いに行けないけど、頑張るから
今の俺に出来ること背伸びせずにやっていくから
見ててな。

祖母の死から一ヶ月とちょっと。



まだまだ現実と向き合えずにいる自分。


なんとなく高校に行って、なんとなく仕事に就いて、なんとなく仕事をしていた4年前。


ぼんやりと自分のやりたいことは分かっていた。

洋服が好きで、給料のほとんどをつぎ込んで大好きな洋服に囲まれていた。

だけどいくら気に入った洋服を買っても、埋められない違和感があったのを覚えている。

うっすらと自分で洋服を作ったらもっと満足できるんじゃないかって。

その当時素人ながら、洋服のリメイクをしていて友人からほめて貰えるのがうれしかった。

作ったものを喜んで身に着けてくれる人の笑顔が好きだった。


やっぱり自分の目指す道はこれなんだと思い、洋服を1から学びたいと専門学校に

行きたいといろんな人に相談した。

でも返ってくる言葉はみんな同じで

「そんなに甘い世界じゃない」

「せっかく大企業に就職できたのにもったいない」

「このまま働いていれば将来安泰だよ」


…正直みんなの言うことに間違いはないと思っていた。

なんとなく就職した工場は国内でも大きい規模の会社で…

自分なんかにはもったいないくらいの良い会社だった。

でもこの夢はあきらめたくないのも事実で…

なかなか一歩を踏み出せずにいた自分がいた。


小さい頃から共働きの両親にかわって僕の面倒を見てくれていた祖母。

なにかと強気な祖母で、寝ているところを見たことがないくらいの働き者。

何か困ったり、悩んだりすると必ず祖母の部屋に行って話をしていた。

洋服の道を志したいと相談したとき、反対されるだろうなと思いつつ話をしたら、

反対されるどころか、

「周りなんて気にするな、やっと見つけた自分の夢だろ」

「何も心配しないで、夢に向かってがんばれ」って…

そんな祖母の言葉で今の自分がいて

普通なら、祖母の死をきっかけに今までよりもがむしゃらに洋服を作って

夢に突き進むはずなんだろうけど…

情けないが未だに何も手につかず、ただただ時間だけが過ぎてゆく日々。


受け入れることも現実から目をそらすこともなくただただ毎日を生きている