到着するやいなや


すぐ棺を焼く場所に案内されて


お坊さんにお経を唱えてもらいながら


お父さんは、一人で旅立ちの扉の奥に行く。



・・・何度も何度も、もう泣かないって決めて、


何度も、もう大丈夫って思うのに・・・


結局涙が出てきてしまう。



それよりも、今まで、涙を流しても


私を慰めてくれていたお姉ちゃんが今回は私よりも声を張り上げて


扉が閉まる瞬間に大声で叫んだ


「お父さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」




・・・それに、沢山の人がもらい泣きしたと思う。


本当に、お父さんはこの世に戻らない。


私達がいくら嫌がっても、この瞬間で強制的に覚悟が出来てしまった。


もうお父さんは骨だけになってしまう。


会うことは出来なくなる。


もう、これ以上悲しくなる瞬間は二度とない・・・


強くならないといけない。





・・・そして、お父さんの骨を拾い上げる時


お父さんの喉仏が出てきた。


それは、本当にしっかりした形だった。



喉仏といわれている骨は、首の骨なんだけど。


形が仏様に似ていることから喉仏と言われているみたい。


モロイ骨だから、全員がちゃんとした形で出るわけではないみたいなんだけど


私の父は、しっかりとこのままの形で拾骨出来た。



・・・後、頭蓋骨と下あごと・・・


最後の最後まで、誇り高き父


私も、誇り高き禅徳の娘これから、しっかり地に足つけて


生きていきます。



父が、骨になり、胸元に収まるくらいの骨壷に納まってしまった。


この骨壷はずっしりと重く、父の生きた証そのものだった。


高嗣の手でしっかりと次世代に託された。



お父さん。本当にありがとうございました。


長い間病気との闘いお疲れ様でした。