人の生死に潮の満ち干きが関係している



なんて話を聞いた事があるだろうか?


父の兄が、亡くなった時は、夜明けと共に亡くなった。




そんな事もあり、夜が明ける時は、勝手に緊張する。


父の手を握り、体温を確かめながら。



看護士さんが7時に検診をしに来た。


その時の状態は



「意識レベルが低い。痛みも感じていないし、脈拍も上が70です。」


「どういう風になるか分かりませんが、このまま様子を看ます。」



って事だった。


私達の願いは、長男の高嗣が来るまでなんとかお願いします・・・



私は、夜明けを迎えたから、高嗣が来るまでは絶対にお父さんは待っていてくれる!!


・・・と信じていた。



母「万が一の時の話なんだけど・・・」


・・・やっぱり、こんな時もちゃんと話し合っておかないといけない事が沢山ある。



葬儀の話だ・・・


母「あき!インターネットで調べてくれる?○○斎場」



・・・うん。



ページが開かれた瞬間に涙がボロボロ流れてきて止まらない。


お母さんに、電話番号を伝えると、この場で電話したんだ。


晃子「この場で電話することないでしょ!!お父さん聞こえてるかもしれないじゃん!!」




・・・こういう事って、生前からしなければいけないのは分かっている。


でも、本当に自分の大事な父が・・・


お父さんが、こういう状態なのに、しなければいけない事なの?



・・・お父さんが死ぬのって本当なんだ・・・



そう思うと、お父さんがいなくなるって事が、とても恐怖と感じられた。


人が亡くなるって、恐怖なの?



震えながら、泣き、人の死に直面するってこういう事なんだ。


30歳にして、初めて体感する。


亡くなったと言う知らせを受けるのではなく、亡くなりそうな時からの死。



大切な人のいない世界を迎えるのが恐怖と感じて、怖くて号泣してしまった。




それから、母と姉が銀行口座で、父の名義になっている通帳の話になって


言い方の問題で、また喧嘩が始まった。


どっちが悪いとかじゃなくて、もう精神と肉体の疲れがピークに達しているし


お父さんの死を目の前にして、私達は元々冷静なんかでいられない。



いつ、どこから喧嘩が始まったっておかしくないんだ。




・・・気まずい空気の中


母は、日時不定の葬儀の予約をしに行く事になり


姉は、父の傍にいて


私は、一回家に帰って、必要なものを取りに帰る事にした。




一度、病室の扉を出てから、忘れ物を取りに帰る。


「お父さん!!一回家に帰るけど、戻るまで待っててね!!絶対だよ」


最期かもしれないのに挨拶し忘れてた。


そんな事で後悔したくない。




もちろん、返事はない。


「行って来ます。」