>計画はなんのためにつくるのかと言えば、ある目標を達成するためにある。目標の達成と関係なしに、ただ計画をつくるのでは、本当の意味で「仕事をしている」ことにならない。


 トヨタ流の目標管理は目標必達にある。


 目標にはふたつある。ある数字を達成することと、それをいつまでに達成するかだ。


 たとえば段取り替えにこれまで一時間かかっていたとする。これを「三分間にしろ」と言われたことがある。改善に要する時間は個人差がある。大切なのはどれだけの時間がかかるかよりも「三分間」という目標を達成することだ。


 目標を掲げた以上青写真で満足しない。いったん目標を掲げたなら完遂するのがトヨタ流だ。


 ただし、目標達成に要する時間には個人差があることは理解している。


 早いか遅いかは人によってちがう。そのかわり遅い人も力をつけていくに従って時間は短くできると考えている。


 トヨタ生産方式を導入している企業の工場には「星取り表」が貼り出してある。それぞれの生産ラインで働いている人に必要な能力や技能を書き出し、各人がいくつかの能力や技能を持ちそれはどのレベルかが一目瞭然だ。ひとによってずいぶん差がある。いつまでにどのレベルに到達しろとはいわないが時間的な差はあっても、確実に必要なレベルに到達すればよい。


   

   例 会計処理関係星取り表  現状値(実績) 挑戦中(現在) 

      目標達成


    伝票発行 帳簿作成 請求書発行 パソコン入力 税金支払


    ひとりで作業が出来る  予定通り作業が出来る 異常時の

    対応が出来る 指導できる


 一人一人の能力評価をブラックボックスにしておいて「腕がいい、腕が悪い」「早い、遅い」「力がある、力がない」と主観でものを言うよりも、全員の目標やレベルがはっきり見える「星取り表」の方がはるかにやりがいがあるというものだ。目標を掲げ、たえず進捗状況を確認しながら一人一人がひとつずつ能力、技能を身につけ、あるレベルに到達する。これがトヨタ流の目標達成のやり方だ。<


 トヨタ流「最強の社員」はこう育つ  若松義人   成美堂出版 p170~


 我が家の車はトヨタではないが「トヨタ生産方式」とか「カイゼン」にはものすごく興味があり山田日登志さんの本もずいぶん読んだりした。この著者の若松さんという人はトヨタ出身で現在はカルマンという会社の社長さんである。


 この星取り表というのをみなさんにご紹介したかったのだがうまく転載できなかった。○に十文字をいれて達成ごとに塗りつぶしていくという簡単ではあるが能力の「見える化」である。これは励みになると思う。自動車の生産で培われたものだが他の仕事や勉強のやり方にも応用がきくんじゃないかな。