第216話
こんばんは、
菊水千鳳です。
前回の日記の続きです。
揖夜(いや)神社の次に向かったのは、そこから車で5分ほど走らせた場所にある、黄泉比良坂(よもつひらさか)です。
先程、揖夜神社の拝殿前でイザナミさんから、
【鏡に浮かぶ己を見よ。
(ソナタに)憑りついている幼子が映っているではないか。
(幼子を)然るべき場所へと帰してお上げなさいな】と言われました。
しかし、これに対し特に何をどうしたら良いかを考えている暇もなく、黄泉比良坂(よもつひらさか)に到着しました。
黄泉比良坂とは、日本神話では、生者の住む現世と、死者の住むあの世(黄泉の国)との境目にあるとされる坂、または境界線とも言われているようです。
駐車場に着きました。
明るい昼間なのに、人気(ひとけ)が無いせいもありましたが、シーンとしていて、時が止まっているような感覚を持ちました。
車から降りると、そこには立て看板がありました。
厳粛な、威厳ある岩の写真です。
ここはかつて、映画の舞台となったことがあるようです。
こちらは桃の木です。
桃の実は魔除けに良いとされています。
神話によると、その昔、イサナギさんは亡くなったイザナミさんを追いかけて黄泉の国へ行きました。
イザナミさんはイザナギさんに、
【私が貴方の前に姿を現すまで、そこで待っていておくれ】とお願いしました。
しかし、イザナギさんは待ちきれずに、イザナミさんの姿を覗いてしまいました。
そこにはおぞましいイザナミさんの姿がありました。
【よくも、見たな!】と怒り狂ったイザナミさんに恐れおののき、振り切るようにして黄泉の国から脱出する際、イザナギさんは追い掛けてくるイザナミさんやその家来達を【桃の実】を投げつけて追い払ったと言われています。
実は、この神話の内容、実際とはかなり違っているのです。
イザナミさんは亡くなったのではなく、イザナギさんの浮気に怒り狂ってしまい、故郷へと帰っていってしまったのです。
イザナミさんの故郷は、荒ぶる(アマテラスさんの住まう天界の真逆の)世界です。
ここはスサノヲさん、ツクヨミさん、アラハバキさんや武神などと同じ故郷です。
荒ぶる世界出身の神々は、世界神話では、ゼウス、ジヴァ、ヤハウェなど他に多数存在しています。
イザナミさんは、火の神である迦具土神(かぐつち)神を産んだために、陰部に火傷を負って病に臥せたのちに亡くなるとされていますが、実際には亡くなっていません。
イザナミさんは、今も全国の神社を駆け回っています。
因みにイザナギさんは、自分は浮気をしていない、とおっしゃっています(笑)。
美しい女神達が自分の元へ訪ねてくるのを、イザナミさんが浮気をしているのと勘違いしてしまっただけなのだと。
それに、美しいものが好きで、ついつい女神達のそばに行きたくなるだけなのだそうです。
いつも、そばに女神達がいるのを見て、イザナミさんは怒り爆発してしまったわけです。
イザナギさんは怒り狂った様子を見て、恐ろしくなり逃げ帰ろうとしたのです。
これがことの真相です。
更に細かく説明しようか考えていて、イザナミさんを呼び出したら、
【今はこれ以上は細かく書かなくてよい。深入りせんでええ】と言われました。
なのでもっと掘り下げた詳しい話の内容は、また別の機会にしようと思います。
話を戻します。
細い道を歩いていると、全体的にどこかヒンヤリした感覚でした。
【早くこちらへ来なさい】って奥の方から呼ばれているのが分かりました。
しめ縄の鳥居がありました。
結界の役目なのでしょう。
鳥居を潜ると、内側は独特な雰囲気がありました。
沢山の視線を感じました。
見られている感覚です。
しめ縄が掛けられている二つの巨大な岩がありました。
【千引(ちびき)の岩】と呼ばれています。
神々に丁重に断りを入れて岩に触らせていただきました。
触りながら目を閉じ、霊視を始めました。
直ぐに見えてきました。
岩の中に現れたのは2柱の男女の神様でした。
古風な出で立ちの男神は、白いお召し物に、左右がチョウチョのような定番の形の髪型で、腰に黒い帯のようなものを締めていました。
手には長い杖?のようなものを握っていて、霊視している俺を見ています。
メッセージは聞こえてこない代わりに、波動でこの神様の意識をキャッチしました、
【お前はその子を降ろしなさい。その子を連れて歩いてはいかん。
お前のそばにいてはならない。
こちらに寄越しなさい。】と。
ここはまさしく、この世とあの世を仕切る境界線のようでした。
男神の隣にいる女神は、これまでお会いしたことのない神様でした。
この方は【菊理媛(ククリヒメ、又はキクリヒメ)】さんでした。
初顔合わせです。
服装は黒いお召し物で、トナカイの角のような木の枝に、枯れた葉がついた絵柄が、上半身の左側から右腰辺りにかけて見えました。
胸元にもポツンポツンと紋章のようなのが描かれています。
髪は左右にリボンのようなもので結いていました。
ククリヒメさんはとても険しい表情でした。
厳粛な立ち姿でした。
本来ならこの世に居てはならないこの子供を、ジーッと見つめていました。
ククリヒメさんは終始無言でしたが、テレパシーで以下のような意識をキャッチしました、
【幼子よ、もうこれ以上、この方のそばにいてはならぬぞ。
これまでに充分に悪影響を及ぼして来たぞ。もう良いな。
この子は私が引き受けます。
然るべき場所へとご案内致します】と。
ククリヒメさんと、じっくりとご対面できました。
時間が来たのでお別れを言い、ここを離れました。
ククリヒメさんは、白山神社のご祭神です。
白山神社へは足を踏み入れた事が無いので、是非行ってみたい一社です。
日本神話ではたった一度しか登場していないようです。
謎の多い神様なのかもしれません。
神話では、ククリヒメさんはこの場所(黄泉比良坂)で、イザナギさんとイザナミさんの仲を取り持ち、和解させたと言われています。
イザナギさんイザナミさんの仲を取り持ったというエピソードから、縁結びの神様と言われたりもします。
実際、そうだと感じます。
ククリヒメさんがどのような神様なのか、いずれ日を改めて霊視したいと思います。
次に向かったのは【佐太神社】です。
当日の朝まで、佐太神社に参拝の予定を立てていませんでしたが、急にそこの神様に呼ばれて行くことになりました。
果たして呼ばれた理由、そこで待ち受けていたのは?
続く