冬が終わりかける頃の休日前夜・・
少し飲み過ぎて酔った帰り。。
さやかはマンションのポーチの
植込みに転がる男を発見した。

無一文で腹を空かせた男は
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか?
咬みません。躾のできたよい子です」
捨てられた子犬のような彼をみて
さやかはつい、彼を拾ってしまう。

確かに躾のできた男は名前を樹(いつき)といい
夜も無事に過ごせたどころか、朝起きると温かい朝食まで・・
久々の温かいご飯にすっかり癒されてしまったさやかは思わず
『行く先ないんなら、ここにいない?』とイツキを引き止めた。。

でも、さやかがイツキについて知っていることは
下の名前と、野草に詳しいこと、それに作ってくれる食事が
とても優しくて美味しい味、ということだけ。
そして秋
イツキは静かに姿を消した・・・。
植物図鑑 [単行本]
有川 浩 (著)