『彼は無事でしょ。なにをそんなに狼狽えてるの』
 
彼女の、確信に満ちた声色を、感じて、じぶんのことを宥めてみる。
 
さっきまで「彼は、どこ?」って騒いでたのは、彼女のほうだったよね。
 
と言っても、彼女は、私の一部なのだけれども。
 
なんだか意識が、急に、成長したみたい。
 
あっけにとられて、すとん、とパソコンのまえに座った。
 
なんとなく、ぽちぽち、音を、つくる。
 
こんどは、すこし軽快な。
 
音を重ね合わせたりも、する。
 
アップテンポな曲に、乗って、乗って乗って。
 
いつしか集中していたよ。
 
彼が帰って来たのも、気が付かないほど。