「不在 Ⅲ章」『もう行くね。おやすみ』 彼女は言って、意識の奥の、奥のほうに設置されたベッドで眠る。 寝息を微かに感じるようになったころ。 「おなかすいたなー」 なんだか何かを食べたくなった。 何を食べたいのか、わからないまま。 パソコンに向かって、DTMを操作する。 デスクトップミュージック。 パソコンで音を鳴らし、て。 幼い私への、子守唄。 ヘタな曲づくりだって楽しい。 鍵盤の楽器じゃなくて、クリックして、ひとつひとつ音を打ち込む。 まだ。 ゼロからのスタートなの。