お付き合いではあるのですが、矢野顕子さんのコンサートに参戦しました。
コアなファンではなかったですが、TVに出ているのを見るといつも見入っていたし
CMソングなども心地よくて好きで。
何だか不可思議な雰囲気やとてつもなく大きいスケール感はずっと身近に感じていたし
きっと、楽しいひとときになるとは思ってました。
矢野顕子のライブを見に行く話を友達にしたところ
その友達はそれなりに彼女の音楽に造詣があるらしく
「代表曲、何か知ってるの?」と聞かれ。
「赤道小町・・・だっけ?」と答えたのですが。
フフフ・・・と笑われ、訂正されなかった。
当日のNHKホールは原宿駅から歩いて行ったのですが
代々木第一体育館で矢沢永吉のライブがあり(2回見に行ったことがある)、
ド派手なイルミネーションもあり。
NHKホールは何もきらびやかなデコレーションもなく
ステージの上もピアノとベースとドラムセットとギターの4ピースのシンプルなステージで。
メンバーがぞろぞろ登場。
「どーも!」ってな感じで矢野顕子登場。
何か勝手が違っていたのか「フフフ」の意味不明の笑い声の1秒後にライブ始まります。
赤道小町とかほざいている自分にセットリなんて求めないでね。
でもどこかで耳にした音楽ばかりで楽しい楽しい♪
ピアノも彼女の身体の一部っていうくらいだし、声もめっちゃキレイで。
何がすごいって、ゾーンの入り方が早いこと早いこと。
曲が始まると何かが憑依したかのような彼女独自の世界にすぐ入れちゃう。
それでいて詩はクリームシチュー温まる~とかすごく日常的なテーマが多いんだけど。
曲の展開がまさにいろいろ入ったおもちゃ箱をのぞいているみたいでワクワクします。
そして、バックを固めるメンバーもそんな彼女の世界を完璧に理解している雰囲気で。
音数もそんなに多くなくて空間の多い音世界なのですが
めっちゃまとまっているのでずんずん入っていける。
まとまっているから、彼女も世界観全開でやりたい放題の感じも伝わって来るし。
こういうすごくいい循環があると曲知ってるかどうかっていうの全然関係ない。
そこには何聴いても気持ち良いしか無かったですね。
一番っビビったのが
「奥田民生さんが私のために描いてくださった・・・。と思われる曲(会場笑い)」
として演奏された「すばらしい日々」
これユニコーンの解散の時の曲じゃないか。ユニコーンの中で1番好きな曲だぞ。
実は彼女のために描いたの?
っていう戸惑いは一瞬。
原曲の敢えて単調に感情を抑えて淡々と進んでいくのを完全に無視して感情の趣くまま。
彼女なりに咀嚼された別の曲になってる。
俺の一番好きなユニコーンの曲になんてことを・・・(って思う人もいると思うが)
とは全然思わなかった(笑)。
カヴァーってこういう方が全然いいと思うのよね。
完全再現だったら、元曲聴くよって思うし。
そして、フルコーラス歌いきったと思ったらそれで終わりじゃなくて
「君は僕を・・・忘れるから~。君は僕を・・・忘れるから~・・・・・」と元曲に全くないフレーズを口ずさみ・・・
そこから、ピアノを狂ったように乱れ弾き。
バンドもがっちりサポートして原曲と180度真っ逆さまにゾーンに入っていく。
THE DOORSの「The End」のような狂乱の展開に。
マジでぶっ飛んでいて最高でした。
彼女、絶対ドアーズ好きなはず(知らないですけどね)。
休憩20分はさむと今度は小田和正さん登場。
矢野顕子と小田和正のトークは巨匠2人のオンステージで楽しい。
明らかに2人のトーク目当てに会場に来ている方も多そう。小田ファン多し。
昔、ライブ中に「甲斐バンドまだかな」と言われてショックを受けたことのある矢野さんに。
オフコースのライブで「最後の曲です」と言ったら会場が盛り上がった(「これで終わって次のバンドになる」っていう意味らしい)のが悲しかった小田さんに。
対バン中のやさぐれ体験ネタで盛り上がったり。
キャロルキングのアメリカンクラシックは2人の共通のルーツのようなのだが
ビートルズを通過した小田さんと通過しなかった矢野さん。
独自の世界が完成しきっている巨匠の会話は噛み合ってなくて
やや危険な間みたいなのができて客席で見ていると少しヒヤヒヤしてしまうのだが。
全く意に介していない矢野さんと、「へへ(わかってねえなぁ)」と失笑しつつこちらも意に介していない小田さん。
インカムのマイクがどうも耳にはまらない矢野さんと、ギターのチューニングを修正していなかった小田さんと。
天才同士のジョイントにはグダグダ感もありましたが、いったん曲になるとやはり極上のハーモニー。
「中央線」(THE BOOM)と「You've Got A Friend」(キャロル・キング)の2曲でしたが。シアワセでした。
昔、地方のテレビ局でオフコースの「Yes,No」のカヴァーを矢野さんがやってるのを偶然目にしていた(原曲無視)
のでやるのかな、って期待してましたがそこはなかったなぁ。
でも小田さんも自分の曲を彼女がどうアレンジするのかは楽しみにしているっておっしゃってました。
すぐにゾーンに入れる分後半は息切れ気味だった感はありますが
60代ですからね。キレキレのピアノに奔放に流れていく歌で構成される矢野ワールドは
とどまることもなく終わりました。
「ラーメンたべたい」で終了。
素敵な時間を提供してくれた彼女に感謝。
その感謝をこめて物販でラーメンのどんぶり買って帰りました。
コンサートに行ってどんぶりを買って帰るって相当あり得ない話ですが(笑)。
そんな気分になったので本能的に。
自由な感覚を持っている人は彼女のライブは絶対に楽しめると思う。
固定観念にとらわれないで生き続けるのって素晴らしいことです。
そして彼女の醸し出す世界観は、絶対彼女にしか表現できないので、
近くの町に彼女が来たら見に行った方が良いですよ。
楽しい時間、感謝してます!
小田和正のライブも行っているので一応リンク貼っておきますね♪
ツアーで販売されていたどんぶりの底がすごくかわいい。
あ、「赤道小町」は「春咲子紅」のことだったのライブ中に気づいたのは内緒です。
教えてくれよぉ~。