昨日、さいたまスーパーアリーナへ小田和正さんのライブを見に行きました。

自発的にチケットを取ったわけではなく、熱狂的ファンから重複して当選したので来たらと。

 

もう何年前か忘れてしまったけれど、1回見に行ったことがあるから、比べる過去もあるし、70歳のアーティストのライブは見ておきたい。

だってさ、自分もできれば70歳までは働きたいからな。

 

元音楽屋でもあるし、今は違う世界にいるけど、どんな風に展開して、配分して起承転結を作っていくのか興味あったし。

自分が生まれる前から存在していた彼が鈴木康博さんと率いていたオフコースの音楽観はすごく好きだったから。

 

あのダークな感じ。救いがなくどこかやさぐれていて、自分が何を考えているのかを決して人に悟られたくない世界。

彼の声は近寄りやすいし癒しもあるんだけど、同時に近寄りがたくて孤高な感じが不思議でね。

 

街で彼の曲を歌ってる人を見たことあるんですけど。

声量もあってメロディーもちゃんとなぞれてるんだけど、全然違うのよ。

まねのできない部分でずっとファンをつかんでいるんだろうね。

 

ソロになってからは愛を高らかに歌っていて近寄りやすさや癒しの方が強まってしまって、正直あまり好きではない。

すごくファンなのにチケットを取れずに見に行けなかったファンの方には自分のような人間がライブに行くことを謝りたい。

 

ただ、好き嫌いは別として、常にみんなで歌える代表曲と言えるような作品を今でも作っているんだからこれは異常なことよね。

だって「ブラックペアン」の主題歌だぞ(笑)。

 

予習もしないで会場に行ったし、セットリも調べないでブログ描いちゃってるんですけども。

 

会場は、すごい人だかり。

アンダーグラウンドのライブばかり行っている自分にとってはさいたまスーパーアリーナっていう場所は無縁なので。

プリンス殿下とBON JOVIの東京ドーム以来の人の多さよね。

ちょっと帰りたくなった(笑)。

 

会場に行くとライブが始まる前に音楽かかってるでしょ。あれって、そのアーティストによって異なるんだろうけど、恐らく自分が影響を受けてきたものだったり、今ハマっているものだったりするものなんだけど。

彼の本番前の音楽は60-70sの古いアメリカンロックなのよね。

おお、前来た時もそう思ったなってちょっとスイッチ入った。

 

ライブが始まったが、声はすごくよく出ている。すごいですね。

こんなに飛ばしてしまって大丈夫なのかと思うくらい。

彼のCDを聴きこんでいるわけではないので、よくわからないのだが、記憶よりもややスローに音階も調整されている印象。

 

ビッグなバンドで歌う時にはエレキを持ってステージ~客席にはりめぐらされたループ状の通路を歩き回りファンサービス。

ここでは動く半面、喉は休めがちにしていた。

逆に、アコギやピアノやマイクを持った比較的スローな曲の時に全身全霊で歌う。

 

「Sad But True」とか「The Unforgiven」などスローな曲で休むMETALLICAとは全く逆パターン(わかりにくい)。

 

スローな曲に明らかにアクセントを置いてる。

 

それに恐らく、オフコース時代の曲を多く演奏していたはず。古い曲をやると、何かひんやりとした空気が流れてくるのがわかる。

そりゃ「愛を止めないで」とか「秋の気配」とか「YES-YES-YES」は知っていたので、いい曲だなと改めて思った。

 

それにしても飛ばしすぎ感がすごい。

時々走るんだが、膝が固いから少し痛々しくて「走らなくていいのに」って思ってしまうんだが。

現時点で自分の出せる限りを出し切るんだっていう彼のサービス精神(こだわりって言葉の方がいいのかな?)がすごい。

 

そして、前半と後半の間に小田さんがその会場の周辺を回るっていう「ご当地紀行」っていう作りたてほやほやの動画が流れ前半が終了。

 

このコーナーの間、小田さんは休んでいるわけだが、いろいろなファンとの交わりと、会場周辺の散策が面白い。

動画も、かつてよりもよりブラッシュアップされていて、編集でツッコミを入れさせたりとよく作りこまれている。

川越の街並みとか、氷川神社とか「まぁ、行きますよねぇ」っていう場所から

鉄道博物館とか、岩槻城跡公園とか「そこ、行くんかい」っていう場所まで。

 

何より、ファンと交流している様子が、オフコースの音楽から感じ取れていたシャイでやさぐれ感が満載で。

突然の小田さんの登場にウキャウキャしている年配の女性ファンたちに「BBA」とつぶやいてしまう小田さん。

このひねくれ感がたまらん!

 

後半はソロでの代表曲がどんどん流れて、この辺りは前回行った時と同じ感じ。

 

本編が終わったわけだが、この時点で2時間30分くらい。

 

2時間30分っすよ?これでマジで70歳なんすよね?

 

アンコールもあってこれで終わりかと思いきや。

 

それでも、客電はすぐに消える。

 

まだやるんかいな!?

 

そこで演奏されたのがオフコース時代の「さよなら」

 

前回見に行った時、おもむろにワンフレーズだけアコギで弾いて「さよなら」やるんだ!って思ったら

「やんないよー。へへへ」ってすかされたのを急に思い出した。

 

この曲、自分的オフコース最強曲ではないのだが、あの時の緊迫感が完全に再現されている。

ほぼ完全にきれいな声色で再現された。

本当にぞくぞくした。

 

そこからさらに2曲やって、メンバーとコーラスやって賞味3時間の公演は終わった。

 

 

いやあ、凄いですね。

これだけやれば彼はヘロヘロになるでしょう。

 

ペース配分とかもすごい参考になったけど、これができるのは長年身体を鍛えてらっしゃるからなんだろうなぁ。

歌も、動きも、現時点での100%を出し切ろうとしているのがわかる。

いや、これでも80%くらいなのかな。

だって今日もさいたまで2日目の公演やるんだからね。今日もきっと3時間よ。

これ本当に異常なレベルです。

 

とんでもないものを見た気がします。

 

まさに、目標とするもののはるか彼方に彼がいるのはわかったので、今日という日を覚えておかないといけないね。

 

彼のファンは、きっといろいろな思いで今日見に来ていたと思います。

 

小田さんがそこに立っているだけでもう涙しちゃっている人もいたし。

「おじいちゃんになったねぇ」って言っている人もいた。

 

ファンはどうゆうスタンスでもいいと思う。

 

過去と比較して動けなくなっているっていうのは彼自身もわかっているだろうし。

その中で自分のこだわりも貫き通していかに今のベストを提示できるか?

その方程式の答えを綿密に練って今日のステージを作りこんだんだろう。

 

なので、もはや、過去と比較して今を彼も見ていないのかも。

ごくごく自然体に今の自分と向き合っている感じ。

だから不自然くらい手を出していなかったオフコース時代の曲を今回のツアーでやったんだろうし。

 

それにしてもあと4か月で全国回って全48回ライブですって・・・。

 

過労死しちゃうんじゃないか本当に心配になるくらい、ストイックなライブでした。

 

それもそのはず。

 

「また会いましょう!」とは彼は言いませんでした。

「また会えたらいいな」とは言いました。

アンコールの最終局面で「さよなら」もやってます。

 

NHKのTV番組でインタビュアーに「引退についてどう考えてますか?」って。

アナウンサーにほられた小田さんは(きっとこのアナとは仲良しなんだろうな)。

 

「へへへ」と描いておいてください。

 

とはぐらかして小田節を炸裂させていた。

かっこいいおやじだなぁって思ったのですが(笑)。

 

きっと引退宣言はしない人だと思います。

さてツアーをやれる時間ができたときにまた方程式を解くのでしょう。

解が出るのか出ないのかはその時の自分と会話して決めるんだと思う。

 

まだ、ツアーは4か月あります。

 

悪いことは言わない。

ファンは絶対に行っておいた方がいいと思います。

 

おいらも昨日のライブを将来に座標軸のとんでもない高いところに点としてプロットしておきます。