◆「川端さんが受賞した対象になった作品は『山の音(おと)』と『雪国』だけど、『山の音』のほうは実は三島先生が書いているんだと」

 14日(土)である。
 夕方6時からの「姚江(ようこう)の会」には、武術研究家の長野峻也先生においで頂いた。
 ちょっと遅れるかもしれないとの御伝言を頂いていたが、お弟子さんの小塚さんが来て下さり
「『私が到着するまで、何か話をしていて欲しい』と言われて、先に来ました」
 とのことだったので、6時ちょっと過ぎには会をスタートさせて頂いた。
 参加者は、私と妻と二人の子供たち、中田氏、中島氏、中村氏、大屋氏、山岸氏、湯浅氏、初参加では、岩瀬氏、天久氏とその御母堂様、江原氏親子ということで、大人12名、子供3名であった。
 冒頭で、いつものように簡単な挨拶代わりの話をいくつか披露させて頂く。
 一つ目は、すでに本ブログでも紹介させて頂いた拙著『真説「陽明学」入門』の英訳刊行の話。
 二つ目には、最近入手したばかりのムック
『三島由紀夫と一九七〇年』(鹿砦社)
 を紹介させて頂く。
「三島由紀夫なんて、今更」
 などと思う方もいらっしゃるだろうが、ぜひ、このムックはお薦めなので、もう少し私の話を聞いて頂きたい。
 実は、このムックが欲しくて買ったわけではない。
 このムックに付いているDVDが欲しかったのだ。
 何のDVDかと言えば、ポール・シュレイダー監督・脚本作品
『ミシマ、ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ(MISHIMA、A Life In Four Chapters)』
 である。
 日米合作のこの映画は、今から二〇年以上も昔、西ドイツに居るときに、運よくロードショー公開で見ることが出来たのだが、当時から、日本未公開(三島夫人の反対で・・・)と言われていた作品で、未だに日本ではDVD以外では見ることはできない。
 内容は、大の三島ファンで知られるポール・シュレイダーが、
「三島由紀夫の生涯を、『美(beauty)』、『芸術(art)』、『行動(action)』、そして『文武両道(harmony of pen and sword)』の4つのチャプター(4幕)構成で描いた」(ウィキペディア参照) もので、
「伝記風の芸術映画」(同上)
 などと評されている。
 製作総指揮は、あのフランシス・フォード・コッポラとジョージ・ルーカスなのである。
 さらに、驚くのは、音楽をフィリップ・グラス(仏教徒である)、美術を石岡瑛子(えいこ)が担当しているのだ。
 キャストも凄い。
 三島を演じているのは、緒方拳である。
 ただし、私は、
「緒方拳以外に、他にいなかったの、ミス・キャストだ」
 と思っているのだが(苦笑)。
 その他の出演者の顔触れでは、大谷直子、三上博史、沢田研二、横尾忠則、坂東八十助(ばんどう・やそすけ)、佐藤浩市、小林久三(きゅうぞう)、萬田久子らが印象に残っている。
 スーパーが英語で、出演者のセリフはすべて日本語ということで、日本人にとっては、日本映画となんら変わらない。
 ともあれ、DVD付きでなんと1200円(税込)なのだ。
 実は、つい数か月前まで、本ムックは、古本でしか手に入れることが出来なかった代物で、その頃は8000円弱の値段だったのだ。
 それが、今年の5月頃になって、1000部増刷されていたのである。

 余談ながら、ムック本体の内容も、実は大変興味深い。
 メインとなっている記事は、鈴木邦男×板坂剛
「第一部 あの“狂乱”の時代を振り返って」
 である。
 そこに、こんな話がある。以下、同前掲書の「三島由紀夫と川端康成」より。

板坂「・・・(略)・・・これは三島先生の奥さんが言ってるんですが、川端さんが受賞した対象になった作品は『山の音(おと)』と『雪国』だけど、『山の音』のほうは実は三島先生が書いているんだと。」
鈴木「ほんとかよ」
板坂「ほんとですよ。奥さんが言ったんです・・・(略)・・・」
・・・(中略)・・・
板坂「特に晩年とかは、川端さんは睡眠薬中毒とノイローゼで作品なんか駆ける状態じゃなかったらしいですよ。北条誠と沢野久雄という作家が川端の作品を書いてたっていうのは有名な話・・・(略)・・・」 


 1200円で、映画とムックを楽しめれば、文句はないと思うのだが(笑)。増刷は、わずかに1000部だというから、早い者勝ちである。
 日本人なら、三島由紀夫の生涯くらいは、知っていてほしいものである。 

 次回に続く。


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