■『ゲゲゲの女房』と『沈まぬ太陽』に感動

 4日(水)である。
 この数日間に、家族と共に見たテレビ番組といえば、
『ゲゲゲの女房』
 総集編②③であった。
 特に、その苦労話が、私や妻の胸を打ったのである(苦笑)。
 私などは、小学生の頃、貸し本屋で借りて、水木しげる『墓場の鬼太郎』も愛読していたのだが、妻は、テレビ放映された『ゲゲゲの鬼太郎』が好きでよく見ていたそうである。
 「蛙の子は蛙」ということなのだろうか、いつしか娘は小学生の時には、『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』の大ファンになっていた。
 そんなわけで、『ゲゲゲの女房』には息子も含めて、大いに楽しませて頂いた。

 もうひとつ、これもテレビ番組の話。
 私は、山崎豊子・原作、渡辺謙・主演のテレビ・ドラマ
『沈まぬ太陽』(監督: 若松節朗)
 を録画しておいたのだが、年賀状を書きながら見ていたら、夕方、仕事から帰宅した妻が見事にはまってしまった。
 翌朝3時起きだというのに、
「見終わるまでは眠れない」
 と、床に就けなくなってしまったのだ(苦笑)。
 まさしくテレビに釘付である。
 3時間余という長丁場のこのドラマには、もちろんこの私も魅せられてしまったわけだが、史上最悪の死者を出した日航ジャンボ墜落事故などをモデルにして政官民の癒着の構造を暴いた重厚な社会派ドラマで、見終わった後にも余韻の残る、実によくできた大人のドラマであった。
 ドラマに描かれている航空会社(もちろん日本航空がモデル)は、原発事故以後、大いに注目を集めている東電を思い起こさせた。

 これは後日談である。
 映画にはフィクションだとうたってあったが、御巣鷹山(おすたかやま)でのジャンボ機墜落事故が出てくるので、誰にだって日本航空だということがバレバレなのだが、映画化に当たっては、さすがに日航も激怒したと言う。
 これまでに何度も映画化の話が出ては、立ち消えて行ったそうだが、やはり日航や政治家からの圧力があったのに違いない。


■「重力や引力のことは頭では分かっていても、私の場合は実際にそれらを体感することが出来たのです」

 私の部屋には、テレビを置いていないので、必然的にCDプレイヤーが活躍することになるのだが、音楽はもちろんのこと、最近は、ラジオを聞きながら仕事をすることが多くなった。
 NHKラジオで、宇宙医学の専門家・向井千秋(むかい・ちあき)さんのとても興味深いインタビューを耳にした。
なかでも、特に記憶に残ったのは、

「約2週間の無重力状態を終えて、地球に戻ってきたばかりの時に受け取った名刺が重く感じたのは驚きでした。重力や引力のことは頭では分かっていても、私の場合は実際にそれらを体感することが出来たのです」

 などといった話をされていたが、実に興味深い体験談であった。
 人体の霊妙さや不思議さについて、改めて考えさせられたのである。
 以下は、ネット上でみつけた向井千秋さんのインタビュー記事だが、その内容は、私がラジオで聞いた話とほとんど同じなので、以下に紹介させて頂く。なお、見出しは筆者。

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●「私は、宇宙飛行のおかげで、地球上では重力というフィルターを通して物理現象を見ていたことに気がつきました」

「宇宙飛行の一番すばらしい経験は、宇宙飛行を終えて地球にもどったときでした。体が重力のないところに慣れていたので、大気圏に突入して重力が0.5~0.8Gになったときは、体がものすごく重くて4~5Gくらいの重力場にいるように感じました。
 地球に帰ってきたときには、肩に誰かが乗ってギューッと押しているように感じ、ヘルメットを首だけで支えるのが大変で両手で持ち上げないといけないくらい重く感じました。

 また、宇宙の物が落ちない世界から地球に帰ってきたので、物が落ちる速度がすごく早く感じました。地球の中心にものすごい勢いでひっぱられていると感じました。
 机の上をみると、いろんなものが置いてあるのも宇宙だと絶対にない光景でした。宇宙では、テーブルからの作用で重さのないレンズはふわーっととんでいってしまいます。
 体重がないので椅子に座ることもできません。地球に帰還した直後は、なんでテーブルの上に物が置いてあるのだろう、糊でもついているのだろうか、そんな風に感じました。  
 ものが落ちていく姿、そして、それが描く放物線がほんとうにきれいなので感激しました。

 名刺1枚を手の上に載せたら、名刺が重いと感じました。宇宙に行ったおかげで1枚のこんな小さな紙に重さがある、ということがわかるくらい敏感になってすごくうれしかったです。地球の感覚に慣れてくると、その感覚がだんだん鈍くなってきました。
 人間の体は、新しい環境への適応能力がとても高いので驚きました。
 帰還後2日目の夜、明日の朝起きたら、紙1枚の重さがわかるこのすばらしい感覚を失ってしまうだろうなと思いました。思った通り、翌朝、この感覚はすっかりなくなっていました。

(そして2回目の宇宙飛行をしたいと思ったわけを、次のように語っています)

 小さな名刺を重いと感じたあの感覚を、もう1回味わいたかった。
 私たちは、生まれながらにして、重力という色メガネをかけて地球上での現象を見ています。
 物がおちる、雨が降る、といったことが当たり前と思ってしまいますが、実は、地球で起こるこの現象のほうが不思議なのです。
 素晴らしいことだと思います。

 私は、宇宙飛行のおかげで、地球上では重力というフィルターを通して物理現象を見ていたことに気がつきましたが、アインシュタインやニュートンは宇宙に行かなくても地球で起きている現象が重力にマスクされていて、その奥に真実があるということが見えていたわけです。
 目で見えている現象の奥に真実があって、それを見ようとしている、それが見えている人たちがいる、人類は、そういうクリエイティビティをもっているすばらしい生物なのだと思いました。
 重力があるこの地球の不思議さが実感できたことが私の宇宙飛行体験でいちばん感動したことです。」(ブログ『間(ま)についての探求』「宇宙飛行で一番感動したこと(向井千秋さん)」2010/10/4(月) )


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