■主演は、香港の人気俳優チョウ・ユンファ(周潤発)
中国政府が作った映画
『孔子の教え』
が、いよいよ12日からロードショウ公開となる。
だが、残念なことに、拙宅の近くの映画館では上映しないようである。ベッドタウンの映画館では、動員が見込めないと判断したのであろう。なにしろ、中国では、同時期に上映された『アバター』の方に客をとられたという。
孔子をテーマにした中国映画は、今回が初めてのことだと言うが、これまでテレビ・ドラマ化されて何度か放映されているように記憶している。
いしだ壱成がアジアデビューを果たした中国のテレビドラマ
『恕(じょ)の人 ~孔子伝~』
が、そのひとつといっていい。
「恕」とは、「思いやり」のことである。
私はまだ見ていないが、全35作にわたる大作である。
孔子役は、ジャッキー・チェン主演の歴史大作『1911』にも出演しているウィンストン・チャオ。そのほか、映画『美しき日々』で注目を集めたイ・ジョンヒョン、そして孔子の愛弟子・顔回を演じたのが、いしだ壱成であった。
ネット上でチェックしてみたところ、どうやらもうひとつ、テレビ・ドラマ
『中国儒学の始祖 孔子』(1993、中国山東電視台)
というのがあるようだ。
話を最新作『孔子の教え』にもどす。
本作は、建国60周年を迎えた昨年、政府が製作費1・5億元(約20億円)を投じて製作した数々の国策映画の中のひとつで、監督は、中国ニューウェイブ世代に属する女性監督フー・メイである。
主演は、香港の人気俳優チョウ・ユンファ(周潤発)で、孔子の前に現われる絶世の美女・南子には、『ウィンター・ソング』などで中国四大美人女優の一人に数えられるジョウ・シュン、そのほか、中国を代表する女性人気歌手・王菲(フェイ・ウォン)が主題歌を歌っている。
中国メディアは、当然のことながら、
「儒教思想の精髄を現代に伝える芸術作品として、中国映画市場における一つの指標となった」
などと、絶賛報道に終始した。
興味深いのは、やはり唯物論の思想を奉じてきた共産党だけに、今回は、孔子を、苦悩する人間として描いているという。
毛沢東を神のごとくに敬った文化大革命の時代には、孔子は、おおいに批判の対象となったのだが、今ではまるで真逆の扱いとなっている。
そのことに関して、映画紹介には、
「儒教の
〈忠君愛国〉
思想は、胡錦濤国家主席が提唱する
〈調和社会〉
に有用であり、共産党政権の維持には好都合だといえる。
近年、海外進出のめざましい
〈孔子学院〉
では、孔子の教えと中国語教育を通して、
〈共産党を愛することは中国を愛すること〉
という思想を教え込んでいるともいわれている」
とある。
もちろん、孔子の映画化は、孔子を尊敬してやまない私のような旧・日本人にとって(苦笑)、大変にありがたい話ではあるが、神格化も困るが、人間化もちょっと困るので、等身大の孔子を描いて頂けたらと願うものである。
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『孔子の教え』
が、いよいよ12日からロードショウ公開となる。
だが、残念なことに、拙宅の近くの映画館では上映しないようである。ベッドタウンの映画館では、動員が見込めないと判断したのであろう。なにしろ、中国では、同時期に上映された『アバター』の方に客をとられたという。
孔子をテーマにした中国映画は、今回が初めてのことだと言うが、これまでテレビ・ドラマ化されて何度か放映されているように記憶している。
いしだ壱成がアジアデビューを果たした中国のテレビドラマ
『恕(じょ)の人 ~孔子伝~』
が、そのひとつといっていい。
「恕」とは、「思いやり」のことである。
私はまだ見ていないが、全35作にわたる大作である。
孔子役は、ジャッキー・チェン主演の歴史大作『1911』にも出演しているウィンストン・チャオ。そのほか、映画『美しき日々』で注目を集めたイ・ジョンヒョン、そして孔子の愛弟子・顔回を演じたのが、いしだ壱成であった。
ネット上でチェックしてみたところ、どうやらもうひとつ、テレビ・ドラマ
『中国儒学の始祖 孔子』(1993、中国山東電視台)
というのがあるようだ。
話を最新作『孔子の教え』にもどす。
本作は、建国60周年を迎えた昨年、政府が製作費1・5億元(約20億円)を投じて製作した数々の国策映画の中のひとつで、監督は、中国ニューウェイブ世代に属する女性監督フー・メイである。
主演は、香港の人気俳優チョウ・ユンファ(周潤発)で、孔子の前に現われる絶世の美女・南子には、『ウィンター・ソング』などで中国四大美人女優の一人に数えられるジョウ・シュン、そのほか、中国を代表する女性人気歌手・王菲(フェイ・ウォン)が主題歌を歌っている。
中国メディアは、当然のことながら、
「儒教思想の精髄を現代に伝える芸術作品として、中国映画市場における一つの指標となった」
などと、絶賛報道に終始した。
興味深いのは、やはり唯物論の思想を奉じてきた共産党だけに、今回は、孔子を、苦悩する人間として描いているという。
毛沢東を神のごとくに敬った文化大革命の時代には、孔子は、おおいに批判の対象となったのだが、今ではまるで真逆の扱いとなっている。
そのことに関して、映画紹介には、
「儒教の
〈忠君愛国〉
思想は、胡錦濤国家主席が提唱する
〈調和社会〉
に有用であり、共産党政権の維持には好都合だといえる。
近年、海外進出のめざましい
〈孔子学院〉
では、孔子の教えと中国語教育を通して、
〈共産党を愛することは中国を愛すること〉
という思想を教え込んでいるともいわれている」
とある。
もちろん、孔子の映画化は、孔子を尊敬してやまない私のような旧・日本人にとって(苦笑)、大変にありがたい話ではあるが、神格化も困るが、人間化もちょっと困るので、等身大の孔子を描いて頂けたらと願うものである。
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