生きててよかった・・・(総集編)① のつづきです。


彼に距離を置くようになり、掛かって来る電話に出ることも嫌になり
私が彼を疑わずにはいられなくになりました。
このままではいけない。ちゃんと、別れないといけない。
そう思い、一度話し合いをすることにしました。


でも、それは大きな間違いだと気付いた時には遅かった・・・。
彼は私のマンションに来て、大暴れしはじめました。
私は怖くなり、どうにもできなくてその状況を携帯電話を繋げた状態で
彼の父親に伝えようとしました。


それからすぐに、彼の父親は私のマンションにやってきました。
そして、息子を止めようと部屋の中に入ってきたとたん
さらに彼のスイッチが入りました。
台所から、包丁を取り出してきて父親に向かって行きました。
私は、とっさに何かを考える前に彼の持つ包丁を押さえつけて
彼を止めようと必死でした。


なんとか興奮が収まり、特に誰にも大きなケガがないまま
その日は帰っていきました。
結局は、ちゃんと別れ話はできないまま・・・。


でも、そんなことがあってそれ以上は関わることが怖くなり
今まで以上に、彼を避けるようになりました。
私の中では、もう終わりになっていました。


その日は何とか落ち着いて帰った彼ですが
それから一切の連絡に応じない私に対する怒りを爆発させました。

・私の勤務先の会社に、朝から晩まで休むことのない無言電話
・私の私用・仕事両方の携帯に1日5~600通に及ぶメール
・私が当時仕事していた病院に、私の上司の名前を名乗って電話し
 私に繋ぐように脅していた
・私の家の周りをウロウロしたり、夜中大声で私の名前を叫びまわる
・自分の住むマンションの窓からも、大声で叫び声をあげる



私が警察に頻繁に通報するようになり、隣近所からも通報があり
(そりゃそうだ・・・誰だって怖いですよね)
彼は警察からマークされるようになりました。


私は、私との騒動の一連で警察が動いていると思っていましたが
同じマンションの会社経営者の人が、かなりの被害があったようで
警察に被害届を出していて、そっちの方でも動いていたみたいでした。


それから程なくして、また私の家の周りに来て大騒ぎしていたところ
通報があってやってきた警察官に連行されて行きました。
そしてそのまま【留置場】に入ることになりました。
このまま、騒ぎは終わると思っていたのですが・・・。


今度は、その留置場から毎日のように手紙が届きだしました。
ある日には、同じ留置場の同じ部屋だったという人から
宛先のない手紙が入っていました。
そこには

『先に出るから託された。彼はいい青年だから許してやって』
と書いてありました。


挙句の果てには、元のダンナさんのところにまで手紙が届きました。
本当に恐怖で、生きながらに死んでいるような生活でした。


それから間もなく、いつも心配してくれていた警察官の方から
『今日、留置場から出ることになった。気を付けて』

と連絡があり、その時の心臓の動きは

もはや生きている人ではありえないような
大きな痛みを伴う感覚でした。


その日は、早々に仕事を切り上げ

子供達と一緒に知人宅に避難させてもらいました。
明日のこともあるし、もうこの時間なら・・・と自宅に戻ると
そこには、手紙が置いてありました。
『やっぱり来てた!!』そう思うと
その夜は一睡もすることができませんでした。


それから数日後、仕事から帰宅した所に彼の母親が訪ねてきました。
『なんの話だろう・・・でも、私もハッキリ言わないと』
ドアを開けた時、母親の後ろに彼の姿がありました・・・。
『どうしてもこれを渡したかったから』

といって、もうすぐ誕生日を迎える
私の子供へあてたケーキと、私への手紙を持って・・・。


彼の母親だけだと思ったから開けた。
彼がいることが分かっていたら絶対にドアを開けることはなかった。
そう後悔している私がいました。
でも、なぜ母親は一緒に来たの?なんで言いなりなの?
そう思っている私もいました。


それから間もなく、彼は勾留される前と同じ状態に戻りました。
そして、会社経営者の人の苦労もあって
(個人でビデオまで設置して犯人を捜していた)

彼は逮捕されました。


その後は、会社経営者の人が損害賠償の裁判をしていたようですが
私にはその会社経営者の人からも、警察からも
『もう一切関わらない方がいい』

と言われ、それっきりとなりました。


それから3年経った日、当時お世話になった検事の方から
『今日で執行猶予が切れる。ああいう人は何をするか分からないから
念のため、気を付けて下さいね』

と連絡を頂きました。


この件に関しては、それで終わりとなりました・・・。


今思い返しても、本当に恐かった。
そして何より、何の罪もない子供たちに本当に恐い思いをさせたこと
本当に申し訳なく、情けないと思っていました。


そんな話をすることもないまま、月日が過ぎ
今は、本当に温厚でステキなパートナーにも恵まれ
穏やかに生活できていますが・・・ある日。

『ママってさ、本当に今まで男を見る目なかったよね~』
『ほんと、マジ最悪な人ばっかりだったよね~』

ポロっと言ってくれたのです。


あんなに辛い思いをさせたのに、今笑ってこう言ってくれる。
そして何より、そんな母親でも見捨てることなく今も一緒にいてくれる。


仕事で、自分を見失うほど一生懸命だったのも
これ以上、辛い思いをさせたくない一心だったことを思い出しました。


そして、この出来事は私にとってどんな意味があったのか。
ある時、こんなことを言われたことがありました。



『人が生きている中で、ごく僅かの確率で出逢わない方がいい
怨憎会苦(おんぞうえく)
というものがある。
泉にとって、彼はそういう人だった。ただ、彼の問題・・・というよりも
彼の家族の問題をハッキリさせるために、泉が選ばれた』

『上辺はいい家族を装っていた家族憎悪の連鎖を繰り返していた。
家族の問題を他人のせいにし、実はいつもトラブルを抱えていた。
これ以上、他人に迷惑を掛けてはならないことを分からせるために
泉のチカラがどうしても必要だった。
大変だったと思うが、今後の泉にとっても必要な経験だったんだよ』


何事も経験だと言います。
無駄な経験は、何ひとつないんだろう思います。
そんなことも経験した私だからできる
何かが必ずあるのだと思います。


ずっと楽しかったわけでも、幸せだったわけでもありません。
でも、今はこうして幸せに生きています❤


だからあなたも大丈夫なんです