アニメを作るのは、自分のためという
女性作家ミハエラ・パヴラートヴァーの
次の言葉が印象的です。
「私は、多くの人によって作られる長編アニメーションよりも、
作家が作る短編のアニメが好きです。長編アニメーションが目標としているのは、
自分を表現することではなく、成功する商品を作ることだからです。」
“日常生活”をテーマにした作品が多いのですが、
その発想、表現力は、
非凡としかいいようがなく、
初めて見る方は
”新しい価値観”との出会いになると思います。
そんなパヴラートヴァーの作品をご紹介いたします。
「夫婦生活」(1987年/4分)
この作品のテーマは、
・夫婦生活の秘訣
・夫の操縦法
・相手の言い分を正面から受け止めない
世の中、夫婦のみならず、様々な人間関係がありまして、
大なり小なり、摩擦が起こりがちだと思うのですが、
そういったことを回避するのに
とても勉強になる作品です。
(でも、決して”How to もの”ではございません。)
ねだってばかりの夫に妻は困りますが、
夫が欲しいものではないが、別のもので夫を満足させます。
夫婦円満は妻の機微がその秘訣のようです。
欲しいものをアルファベットで表すところがパヴラートヴァーのユーモア。
「Aがほしい。」と言われたら、
”Aを用意しなければ”と思うから、ストレスになります。
生真面目でナーバスな方に是非、ご覧になっていただきたい作品です。
「クロスワード」(1988年/5分)
身支度を整え、色っぽくベッドで妻は夫を待ちます。
でも、夫はクロスワードに夢中。
どんな誘惑も効果がなく、最後には、強引にベッドに連れ込みますが、
どうなることやら…。
でも、浮気相手が「クロスワード」なので、とても平和です。
「ことば、ことば、ことば」(1991年/8分)
この作品は数多くの国際映画祭でグランプリを受賞し、
米国アカデミー賞でノミネートされた作品でもあります。
パヴラートヴァーの出世作となった作品です。
この作品はひとことでいって”おしゃれ”です。
舞台は、カフェ。
様々な人々が様々な会話を交わしています。
会話というのは、話し手と聞き手がいて成り立つものです。
でも、双方がかみ合うことは、意外と難しいものです。
その会話をパズルのように見せています。
一方的な会話だとパズルは完成しません。
人間模様と会話を見事な描写で描いています。
「反復」(1994年/9分)
この作品でパヴラートヴァーの名前は、
世界のアニメ界において、不動のものになりました。
ベルリンをはじめ、多数の国際映画祭でグランプリを受賞しました。
この年のアニメ界は”パヴラートヴァーの年”と言っていいくらい
話題をパヴラートヴァーがさらいました。
同じことが繰り返される日常に誰もがストレスを感じながらも、
毎日を送っています。
そんなある日、いつもの散歩に出かける犬が散歩を拒否をします。
自らの意思で飼い主を引っ張って走り出すと…。
ガラッと日常が変わります。自分だけでなく、周りの日常まで…。
赤と青のコントラストが見事な世界中が絶賛したパヴラートヴァーの代表作です。
人間の”日常”を描いていますが、結構、違和感を感じる”日常”もあります。
パヴラートヴァーの独特の感覚に是非触れてみてください。
いろいろ考えさせれれます。
「永遠に…」(1998年/15分)
素敵な結婚式です。
二人の愛は永遠で、この先、バラ色の人生が待っているのでしょう…。
と、思わせるような実写からスタートします。
でも、人生そんなに簡単では、ありません。
そして、そんな”きれいごと”はございません。
結婚に夢を抱いている方は、ご覧になられない方がいいと思います(笑)
間違いなく夢を打ち砕きます(笑)
でも、いろいろなことを乗り越えて
充実した結婚生活を送ってほしい、というパヴラートヴァーの
メッセージが込められていると思います(たぶん)
でも、私は、この作品を観てから、
パヴラートヴァー夫婦を斜に構えて見出したように思います(笑)
そして、実は、この作品は、コウツキーとパヴラートヴァーの
共同監督作品なのです。
世界が誇るブラックユーモアとブラックユーモアの融合です。
パヴラートヴァーは
すごい美人です。
写真を撮るときとても
緊張しました(笑)
パヴラートヴァー作品は
DVD「80’s~90’s2D傑作アニメーション『カフェ』ほか」に収録されています。
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以上が、パヴラートヴァーの作品です。
全ての表現が、斬新で、観たこともないような手法です。
「こんな表現どうやって思いつくのですか?」
という超愚問を投げかけますと、
彼女はさらっといいます。
"That is my job. It is not special."
失礼な質問、申し訳ありませんでした…。