鏡の中の戦魔―ストラグルフィールド (ファミ通文庫)/榊 一郎(著), 騎羅 (イラスト)
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【かつて“戦魔”とまで呼ばれ、恐れられていた傭兵ヴァレルは、戦いの場から身を引き、身の回りの世話をしてくれる村の娘アリエとともに穏やかな日々を送っていた。
だが、その暮らしも軍の“処刑屋”ロジッタとムーグの来訪によって破られようとしていた…。
戦いの場に生きる人間たちを描くアクション・ファンタジー巨編、堂々の登場。 】


■ 感想とかネタバレとか

元傭兵部隊で副長だったヴァレルと、副長と傭兵部隊全体で育てた幼子レイヴンのお話
「処刑屋」で憲兵のおにーさん&おねーさんも登場
腑抜けた顏を元に戻す「餌」は、毎朝彼にパンを届ける宿屋の看板娘
接近戦を得意とする剣士と中長距離を得意とする界術師(場に強制的に干渉する能力)

レイヴン(元幼子)が「戦魔」を持っていったんだろ という話なので
処刑屋コンビは一体なんだったんだろう(笑)
ロジッタ(界術師)はレイヴンとお師匠さんが一緒繋がりでまだいい。
妖術師のムーグ(処刑屋片割れ)はお師匠誰だったんだろ… 途中で出て来るディロンさんもお師匠さんどなた

レイヴンが軍を脱走した理由も、追手を殺した理由も、別れから4年経った今、ヴァレルを追いかけた理由も、さいごまでははっきりしなかった
どうも戦塵外史4巻「豪兵伝」収録の「農夫の剣」を思い出す
戦魔に育てられた女の子が戦魔を持っていって、
宿屋の看板娘が鍬持つ農夫を愛したのなら、
ひとり怯えることしかできなかった、
死体となった家族を家ごと燃やされた、
嘘だと叫んだ少年を、わたしにちょうだい

しょうじき戦魔も農夫もあんま興味ないわ
ストレイト・ジャケットのレイオット・スタインバーグと同じように、「罪」と「罰」のお話か
殺されたいのも殺したいのも両思いがいいなあ、うっかり殺しちゃって「ああああああああ」ってなってるのも楽しいのは否定しないが
あの子は、「戦魔に殺されること」だけが目的だったの
お前がさいごに見た、憤怒と激怒の理由は、お前じゃない
平穏を甘受する人間の平和を壊す側になったご感想とかぜひお聞きしたいです
レイヴンはそのほとんどが語られなかったし、語らなかった

で、しょうじき、レイヴンも大っ嫌いなんだわ。多分な。
不愉快だし、怒りたかった
4年間、問い続けたのか、考え続けたのか、それとも忘れていたのか、片隅にこびりついていたのかも知らんが
戦魔以外のヴァレルを知らなかったんだろう
アリエが戦魔のヴァレルを知らないように
そして彼自身しか彼の少年期を知らないように
でもあの子が「戦魔」を持っていったんだったら、まあいっかなー。
それに、ヴァレル自身言っていたように、あれは彼のコピーでもあるから
レイヴンの界術師としての師匠はカレンで、考え方や細かなことを教えたのはヴァレル
誰もなにも言ってないし反吐が出るくらい「大っ嫌い」な言い方をすると、あれは「子供」なんだよな。カレンとヴァレルの寝てるとこがあったから。
ひたすら殺すことと生き残ることを染み込ませた子供の、表現の仕方っていうのは、ああいう風になるのかな

レイヴンの行動の「なぜ」の部分は、終わったあとにロジッタ達から話される
彼女が「言わなかった」のなら言わないままでいてほしかった、というのはわたしの勝手だが。
餌になったアリエからのお手紙のように、届けられた伝言だけが転がってたり、してもよかった。
被害が最も甚大だったのはアリエだろう(笑)
彼女はそれをそれ程悲観してなかったからまだいいが「抜け殻」でキーリを思い出したのでちょっと苦い
説教くさいなー と、あとぐるぐる同じことを詳しく語るので「進めー!!!!!」となる。

イラストレーターは騎羅さん!
レイヴン可愛い!!
もいっこ「ストラグルフィールド」で出てた、ムーグとあったのできっとおにーさんのお話。