独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)/平山 夢明
¥600Amazon.co.jp

【タクシー運転手である主人に長年仕えた一冊の道路地図帖。
彼が語る、主人とその息子のおぞましい所行を端正な文体で綴り、日本推理作家協会賞を受賞した表題作。
学校でいじめられ、家庭では義父の暴力に晒される少女が、絶望の果てに連続殺人鬼に救いを求める「無垢の祈り」。
限りなく残酷でいて、静謐な美しさを湛える、ホラー小説史に燦然と輝く奇跡の作品集。】
(アマゾンから引用)


■ 感想とか色々

C10H14N2(ニコチン)と少年――乞食と老婆
くるっている街にやってきたひとりの男、が下らないことで死ぬ話
いつもは親切なパン屋さんもお巡りさんも彼の前ではとっても酷い奴

Ωの聖餐
おー これはけっこう好き
大食らいで死体処理場で知識の集結する場であるオメガの世話役を引き受けた男の話
理論と数学と証明とライバルと転落、逆転
オメガがこだわりのない大食らいでよかったね!!


無垢の祈り
同級生から「おばけ」と呼ばれる女の子が殺人現場を巡って「こんにちは!」と書いていく
お母さんは変な宗教にはまり、お父さんは常時おかしい
最後いいなー あいつの手は基本的に破滅と殺人なのにあの子にとって救いの手になるのか


オペラントの肖像
条件付によって痴漢常習者もロリコンも矯正された世界で、条件付を緩める芸術が燃やされる
家庭科の悪徳商法で1番嫌いなのがデート商法だったなあ、ということを思い出した
焚書も嫌いだが絵画や芸術を燃やすのはもっと嫌いだなあ、しかしやることえげつないなあ
男の人がお母さん大好き(翡翠の目とお菓子)だったお話(笑)、内部査察と違反者

卵男
司法取引と恐怖と人工的人格
カレンと205号と卵男

すまじき熱帯
「呉」という男を殺しに行くお話がまさかの結婚式だったので驚いた
人間は鰐の餌、生きたまま泥鰌に穴を掘られて、水の中に沈んでいく
背中の皮剥がされたり、象に踏まれかけたり、怒ったような首だけがぶら下がっていたり
せめて息子だけは呼びたかった

独白するユニバーサル横メルカトル
先代のご主人様はタクシーの運転手で、ナビを忌み嫌う地図と言葉を交わした
ご主人様の坊ちゃんは無視なさる上に人間の皮に新たな地図を書き込んでお気に入りの様子
二代にわたっての殺人や地図どうしのやり取り、「御一考」願いたい地図は、警察の手から坊ちゃんを救い、2ヶ月のうちにもう一度心を通わせることができるのか

怪物のような顔の女と溶けた時計のような顔の男
儀式を行う男、の話
MCとハンプとココとドン

読んでいる最中はそこそこえぐかったりしてよかったんだけど(「すまじき熱帯」の最後の「呼んだのは虎でした」オチ好き)いざ思い出そうとするとそんなでもない、のはちゃんと読まなかったからか?
オメガ好きー しみじみ短編向かないな。