約束の森/沢木 冬吾
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【警視庁公安部に属していた奥野侑也は、妻を殺人事件で亡くし、退職を決めた。
以降、人知れず孤独に暮らしていたが、かつての上司から北の寂れた土地でモウテルの管理人を務めてほしいと依頼され、任地に向かう。
そこで待っていたのは、見知らぬ若い男女と傷ついた一匹の番犬だった…。】
(アマゾンから引用)

■ 感想とか色々

元公安のおっさん(侑也さん)
自称陸自の片腕義手の隼人
罠かつ関係者の娘、ふみ
捨てられ虐待を受けていたマクナイト

おっさん(侑也さん)がマクナイトと交流しつつ、見知らぬ若い男女と家族の真似事をし、モウテルで仕事をこなす
実体のない組織を探す緒方や、かつての部下達、隼人の上司、警察の裏金で作られた処理施設
奥さんが行方不明になった日。

おっさんかっこいいな!!! も勿論あるんだけど、隼人の得意技やマクナイトとの意思疎通、最後の13人殺害を正当防衛にしようとしたり、いきなりふみの兄さん出てきちゃったりで、ちょっと「都合いいなー」があった
おっさん無双過ぎてなんかうける。ロープワークのとことか。
赤城さんはマクナイトを付け狙っていたけど、その内ふみさんと隼人のとこに行くんじゃないかとソワソワしていました、行かなかった時点で警戒レベルを下げた
基本的におっさん無双+ふみさんの話
ふみさんと隼人は言い合いになるけど、自分とだと言い合いにすらならない、と沈んでいるおっさんに笑った、いやあれは仲良いっていうのか(笑)
ふみさん泣きながらキレてひとつひとつ注意点を言い挙げていくとこの男性陣可愛い
「マクナイトの前で煙草吸う?」のとこ。

隼人を庇いたくなる不思議
いや、隼人、いいじゃん、多分彼が作中で最も成長しているし、これからも余地がある、よ!
工科だったんだけどこの場合退職金? とか出るのだろうか。工科は卒業したら学歴的には高卒扱い。
あの子、ふみさんが沈んでるときに口滑らすし、家具搬入のときもマクナイトに助けられるし、新しい腕は手に入らないし、散々だったけど(笑)
その後、マクナイトを認めたり、殺したくないな…と思っていたのに敵が「拉致した女(ふみさん)を回す」と喋っていたのを聞いてすっぱり殺していたり、よかった、よー
電話をかけないと片腕切り落とす、という命令を、断る所とか、ね!
隼人のことをオトウトクンと呼んでいたふみさんが途中からちゃんと名前で呼んでるのとか、ふみさんのことをアネさんと呼んでいるのは可愛かった!
侑也さんからロープの使い方をぜひ教わっておいてほしい



物語における〝赤ん坊〟の意味はなんだったんだろうと思ったんだが、あれかもしかして〝きっかけ〟か。
闘犬を否定も肯定もしなかった赤城を無視していた侑也さんが、それをやめるきっかけを待っていたように。
赤ん坊がいたからこそ隼人と侑也さんは腹を割って任務の話をして、オーナーと支配人は知らぬ存ぜぬを通していた任務に刃向かった
どうだろう、わたしはふみさんを嫌いじゃないし、ふみさんの父親面する侑也さんも嫌いじゃない
彼女が誰と寝ようが興味はなかったし(さすがに隼人や侑也さん、緒方さんとかとはねえだろと思っていたし実際なかった)、それが愛情でも友情でもなにも思わないことに変わりはない
ただ、誰の子であれ、祝福されて生まれてきてほしかったのと、利用しないでほしかった。
殺された隼人の弟と、侑也さんの奥さんの名前が、生まれて来る赤ん坊の名前の候補になっていたけど、それはちょっと…どうなんだろう……
女の子なら侑で男の子なら隼みたいに一文字ずつもらうならともかく。

おっさんかっこいいなー! という話なので おっさんかっこいいなー! と言っておく
「償いの椅子」も「握りしめた欠片」も「ライオンの冬」のどれも家族だな、ああだから赤ん坊が必要だったのかな。おっさんだけじゃなくじーちゃんとばーちゃんもかっこいいぞ

装丁は國枝達也さん!